第一印象

俗に「登らない馬鹿2度登る馬鹿」などといわれる富士山。


曰く、石と砂ばかりで面白みがない。
然り。しかしあの雄大さはどうだ。写真などからは感じとることはできまい。眼前を圧する壁のような斜面。背後は航空鳥瞰のような絶景。
須走口からは、林間の径からしだいに植生が低木へ、さらに高山植物の疎らな群生へと変化する。
高度が上がるに従って風が冷たくなり、空気が薄くなり、雲が低くなってくる過程とともにたのしめる。


曰く、俗化している。
然り。富士山が秘境であるはずがない。7・8月に30万人が訪れる観光地である。
日本のどこを探しても俗化していない観光地などみつけることは至難であろう。


曰く、週末は大混雑する。
然り。山頂で日の出を見ようとするとそうなるかもしれない。
須走口で、土曜の午後に山小屋へ入込み一泊、翌朝日の出後山頂を目指したら、同方向の登山者は少なかった。


曰く、山小屋が酷い。
然り。山小屋とはそういうものであると知らねば酷いと思われてもしかたあるまい。
それにしても、寝返りの打てぬほどの過密。眠れなかったかたは気の毒である。私は10時間熟睡した。
接客や食事は期待以上のもの。


登頂の達成感は意外に希薄だった。もっと先があると思ったら山頂だった。
登る過程をたのしめた。同行の仲間あればこそかもしれない。
みなさんおつかれさまでした。


ぜひ2回目を登りたいと思った私は馬鹿なのか?