ゴメント求む?

"Column@nak"10/29付より。

エレベーターが降りたい階に到着した時、ドアの前に人か立っていた。さて何と声をかけて降りようか?
「スミマセン・・・」?「失礼します・・・」?それとも・・・?


私は「失礼」をつかうのがふつうです。
互いに対等なところでは「失礼。」、こちらが下手に出るべきときは「失礼します。」と使いわけてます。
雑踏などでは前者。ただし相手にむりをお願いするときや、会社内とか訪問先とかでは後者です。
「失礼」が別れの挨拶というのはおそらく派生的な語義で、あまり強い印象はありません。


話さなければわからない、あるいは話してもわからない、という対人関係の支配的な社会と異なり、話さなくてもわかりそうな文化では、"Excuse me."のようなことばはあまり必要がなく、発生・定着してこなかったのかもしれません。


では日本の古典でどのような用例があるか。すぐ思いついたのが落語「首堤燈」。
雑踏をかきわけて進みながら「はい、ごめん、はい、ごめん」という台詞がしぐさとともにさげになってます。


下って、「ごめん」が「すみません」に転じたのかもしれません。
でも、「すみません」というのはたしかに謝罪のようでしっくりきません。いや、謝罪としては軽そうで、中途半端なことばになってしまったように思います。


昔、米国をひと月ほど旅して帰国したあとしばらく、雑踏などでつい反射的に"Excuse me."と言いそうになるくせが残ったものでした。
現地では"Sorry."というのもしばしばきいたような気がします。