外しの美学

サイコロがご婦人と喋る屋根の上


というような場面を深夜のテレビで見たのが去年の1月 *1木村カエラ嬢との出会いでした。
なんという気だるさ。某投稿者の言を借りると、アルバイトの休憩室での会話。言い得て妙。って慣用句も番組でよく用いられたものです。


その後ライブを始めたり、シングルなども売れ出したりして、やがて番組は降板。
さらにその後、伝説のミカバンドを復活させる契機となろうとは。長生きはするもんですね。
先週、新作を発売前夜の閉店間際に入手。
NARKISSOS (初回限定盤)(DVD付) Sadistic Mikaela Band "NARKISSOS"


カエラの歌声も舞台での動きも、意外にロックらしいと気づいたのは、8月の宣伝映像撮影現場ででした。
思えば"sakusaku"で放映された神奈川県各地のうたでも、その気はあったようなわけですね。
歌唱指導どおりではない要素、ロックっぽいはずしかたとか。それがはっきりした日本語のかたりくちと相俟って、独特の雰囲気を出します。
印象に残ってるのは、「箱根のうた」 *2の一節、「いっしょにね♪」のところとか。


今回のミカバンド、曲集全体としては、カエラの歌とその伴奏といった趣きを求める新たな聴き手の期待を外してるといえそうです。
といって、懐メロ大会ではありません。楽団員それぞれの現在を色濃く反映しているように感じられます。
楽団としてのまとまりを欠くのか、はたまたそれは懐の深さや多様性なのか。
ともあれ、安心して聴ける快適な音。ながく親しんできた音の最新状況。そこに往時の本歌取りといった趣向も少々。

*1:同'05/1/18付。

*2:同'05/4/7付。