日蝕続報

自宅発4時59分、標高2127mの麦草峠には9時ちょうどに着いた。
期待に反して雲は厚い。雲の切れるのを待つほかない。
考えてみたら、富士山頂にだって雪は降るのだから、国道で2番目に高い麦草に来たところで、晴天を拝めるとは限らないわけだ。


もとより準備万端というわけではなかった。
日蝕観測用眼鏡は売り切れで入手できず。クリアファイル4色を職場から拝借、それに自転車で使ってるオークリー*1でなんとかするつもりだった。
針穴投影用に紙タオルの芯、アルミ箔、粘着テープを用意。現地で組み立てる時間はあろう。
腕時計は信号鏡と方位磁石を仕込んだやつ*2を選んだ。鏡を太陽の形を反射投影させるのに使えそうである。
しかし、いずれにしても晴れないことには。


日蝕時程は主要都市のものを参考に印刷してきた。当地は調べてなかった。
東京の蝕の始め9時55分を過ぎても、同じく蝕の最大11時12分に近くなっても、いっこうに晴れる気配がない。


ならばせめて記念写真でも、と思って道標の撮影などしてるうちに、ふと気づくと、なんだか暗くなってきたような?
暗雲が流れてきたわけではなさそうだ。さては今が最大食分なのか?
最初の撮影場所に戻ってもう1枚。

左から11時11分、11時15分。これは露光の違いじゃないよね・・


よく見ると東の空が明るい。ではそっちをめざしてみよう。
峠から冬期閉鎖門のところまで下って車を停めた。眼下に雲海、頭上の雲は薄い。


雲の明るいところに目をこらして数分、薄く流れる雲を通して、半月状に欠けた太陽がはっきり見えた。
慌てて携帯電話で撮影を試みる。いやそもそもレンズを向けてよいのか。

なんか焦点も合ってないみたい。


見えたのはごく一瞬だったけど、これで幼時の無念*3を晴らすことができた。
日蝕を見て人生観が変わったわけではない。でも、26年後の皆既を元気に迎えるぞ!という気概が湧いたような気がした。

*1:'06/5/24付

*2:'05/3/2425、'06/2/38'07/10/30付。

*3:5/1付