用例で身につけたい

土屋博映「土屋の古文文法88」代々木ライブラリ−、1990年。ISBN:4896802233
土屋の古文文法88―代々木ゼミ方式 


「青春の文語体」を読んで、文語文法を復習してみたくなった。
すぐに適当な本が見当たらず、受験参考書の手ごろなのを1冊選んだ。


見開き2頁で1項目完結。89項目の体系的・網羅的な品詞論を中心とした文法書。
著者は、本書の前に上梓した自信作「古文公式」を使いこなせない受験生が多くいることを知り、それは基礎的な文法知識の欠如が原因ではないかと考え、本書執筆に至ったという。
3回通読すれば会得できると著者はいう。
手元において随時参照するにも、とても重宝しそうだ。


受験生に読解のための文法の基礎理論を供するという本書の目的から、用例を多く掲載できなかったのは已むを得なかったかもしれない。
倍の紙幅を使うことがゆるされるならば、1項目についてさらに2頁くらいずつ、精選された用例がほしいところ。
文法は、法則を理解し、用例で覚えるのがよいと思う。


高校時代の副読本、松村「古典文法」は、ちょっととっつきにくいけど、用例がよかった。
初学のときに、自分で暗記項目をまとめてわらばん紙に書き出してメモを作った。本にはさんどいたはずが、散佚してしまったようだ。


「用例でおぼえる文語文法」といった良書がないものか。