知られざる前史


ある日曜日の朝。
起きたら8時半。8時からのニュース番組に間に合わなかったな、と思いながらテレビをつけると、陸上競技の実況みたいのをやっている。
そうか、オリンピックの最中だったね。生中継の特別番組か。
あれ、アジア人女性が競技場を凱旋してるよ。優勝でもしたのかな?
タカハシナオコだって。ふーん。


「たのしい42.195kmでした!」というインタビューが印象的。
なんか、運動というのも、よさそうだな。マラソンは無理でも、自転車ならおもしろいかも。
と思って、自転車を買おう!ときめたのでした。2000年9月のことでした。


たまたま見てた自動車雑誌巻末の通販広告に、マウンテンバイクみたいのが載ってました。
18段変速、前後サスペンション付、折りたたみ可、「シマノ製部品使用」とか書いてある。シマノってきいたことあるぞ。有名メーカーなんでしょね。
3万9800円。意外に廉い。じゃ、これにしようかなあ。どうしよう?


そのあとすぐ、旧友たちと会う機会がありました。元トライアスリートのM氏はじめ、自転車の上で青春を過ごした面々。*1
「自転車買おうと思うんだけど、どういうのがいいの?」と訊いてみる。「とにかく軽いヤツ!」と即答。
ふむ、なるほど、そういうものか。
帰宅して通販広告を見たら、18.5kgだってさ。いかにも重いね。
ということで、改めて自転車探しの旅が始まったのでした。


このとき購入候補として考えたのは、なぜか小径折りたたみ。
思えばこの前々年、世界最軽量自転車「トレンクル」の発売とともに、鉄道会社が自転車の列車持込みを無料化する、というできごとがありました。
私は仕事でこのことと少しかかわりがあって、自転車もいいな、買おかな、と思ったものの、トレンクルは変速機なしと知り、これじゃ自宅近所の坂をのぼれまい、と諦めたのでした。まさかこの自転車を18段変速に改造するとか、変速機なしでもしまなみ海道4日間のツアーを敢行するとか、という人がこの世に存在しようとは知る由もなかったのです。


雑誌やwebなど見てると、軽くて、折りたたみで、変速機のついたのもある。
BD-1というやつがよさそうです。10万円強といっても、トレンクルより廉い。
しかし9段変速では、自宅近所の坂をのぼるになお不安が残ります。
試みに、小学生の甥が乗ってるMTBモドキ、フロント3枚の18段だか、を借りて近所の坂をのぼってみると、やはり一番軽いギアがラクです。
BD-3というのは21段だけど、青色だけ。まあ、青も良いんですけどね。


と思ってるうちに、斯界の権威「おのひろきおんらいん」にて、衝撃のニュース。2000 年 10月11日付「BD-1 シリーズ 2001 年モデル」
次期製品で、フロントダブルの18段変速が出る!
これはまさに、私のためにつくられた自転車に違いない、と勝手に思い込みました。


2000年11月、東京国際自転車展にてBD-1cに試乗後、BD-1w初回船積み分を発注。
併せて、-1cと同様にハンドル位置を近くしたステムに交換を依頼。
12月納車。今日に到る


各氏の自転車事始、みきさんも竹本昌之さんも、以前直接お聴きした記憶もありますが、やはり意外なる真実でした。

*1:のちに彼らとはともに麦草峠へ挑むことになります。