冗談と本気

私はよく人の冗談を本気にして笑われることが多いのです。子供のころからそうです。
多くの人と感受性が異なるのかとも思いました。そうなのかもしれません。
ただ長ずるにつれ、自分の側の問題だけでなく、当該冗談の質はどうなのか、といったことにも少し気づくようになってきたのです。


"Column@nak"November 20, 2004「写真送るよ。」

帰国便でコックピットの通信やりとりをオーディオで聞いていたら、太平洋上空でこんなやりとりが流れていた。「○○便、こちら△△便。貴便の上空通過中にそちらのいい写真が撮れたので今から電子メールで送るよ。」「△△便、こちら○○便。了解、どうもありがとう。」…飛行機どうしで写真を撮って電子メールでやりとりしてます。>貴方の上空(^^;)

旅客の生命・財産を預かる運航乗務員の冗談発言としては、首を傾げたくなります。
これをきいた乗客の中から、本気にして航空会社や行政当局に訴える人が出てくるかもしれません。


いうまでもなく、電子機器の機内使用を制限している航空会社は多いことでしょう。当該機の準拠する法令や社内規程などは不明ですが、本邦では、航空機内にある者の安全阻害行為等について、その禁止と機長の抑止権限などが法定されています(註)。
洋上の航空機間でメールのやりとりができるのか、操縦室でのメール送受信が運航の安全に支障を及ぼすおそれがないといえるのか、といったことは私はわかりません。しかしいずれにせよ、乗客に安全運航上の疑念を抱かせるような冗談が、対顧客サービスのためのものとも思えないのです。


最近報道された乗務員の不祥事としては、チャーター機の乗客を運航中の操縦室に入れた例、鉄道では回送列車の車掌が携帯メールを送受信した例などが想起されるところです。

共同通信 '04/07/21 20:41 乗客30人が操縦室立ち入り チャーター機、機長が許可
 大阪市の大手メーカーがチャーターした関西発ダブリン行きの全日空ジャンボ機で十三日に運航中の操縦室内に乗客約三十人が立ち入っていたことが二十一日、分かった。
 一九九九年の全日空機ハイジャック事件以降、乗客の立ち入りは航空法で禁止されており、国土交通省は同日、全日空大橋洋治(おおはし・ようじ)社長を呼び厳重注意。許可した機長(59)らの乗務停止などの処分を検討している。
 (中略) 同機の客室乗務員が十六日に帰国し、報告書を提出したことから事態が発覚。全日空は十九日に機長らから事情聴取し、国交省に報告した。

共同通信 '04/11/08 17:14 車掌が回送電車内でメール
 名古屋鉄道は八日、男性車掌(24)が運行中の回送電車内で携帯電話のメールをしていたと発表した。
 (中略) 駅のホームで見ていた客からの苦情で発覚した。
 車掌は「回送列車で乗客に見られないと思った」と説明。社内規定は業務中の携帯電話使用を禁じており、同社は近く処分する方針。 



国土交通省航空局「航空機内における安全阻害行為等(機内迷惑行為)の防止のための改正航空法の施行について」2004年9月15日
航空法 第73条の3第73条の4
同法施行規則 第164条の15