ただものではない

昨日付コメント欄の話題をうけて。


貧しい大学時代、建築現場などの労働で、昼食つき、しかも大衆食堂で好きなものを注文してよい、などという僥倖にめぐまれたときは、中華丼を選択し、至福のひとときを味わうことがしだいに多くなっていました。


たまに自炊で贅沢をしよう、中華丼を喰おう!といっても、食材を揃えるのからしてたいへんだし、とくに白菜なんか使いきらないとすぐくさってすんごい悪臭を放つし、ということで、悪友がメシめあてに訪ねてきたときくらいにしか手がけられないものだったのです。
そんなときの救世主がヤマモリ謹製レトルト中華丼。市価は忘れましたけど、贅沢度は当時350円の吉*1野家牛丼を喰うより高かった気がします。


他方、高校のころに「ハウスデリッシュカレー」というのが出て、これは炒め用香辛料とカレールーのセットなのですが、牛・豚・鶏・蝦それぞれ専用に4種の製品があって当時としては画期的でした。とくに蝦カレーのくさあまからい味わいは、外食などで多少は舌の肥えるずっと以前の少年にとっては、この世のものとは思えぬほどでした。


就職したころには、すでにハウスデリッシュ蝦カレーは姿を消していました。あの味わいよもう一度、と思いながら、近所のスーパーでみつけたレトルトの「シーフードカレー」というのを食べてみると、これがデリッシュ蝦を彷彿とさせる。製造元は、とみると、これがなつかしのヤマモリでありました。


そしてつい最近のできごと。やはり近所のスーパーの棚を丹念に見ていると、珍しくトムヤム風ラーメンなど並んでます。
輸入品かと思ってよく見たら、これがまたヤマモリ製でした。
食べてみると、これが実にタイらしい味なのです。下手に日本人に向けた迎合をしていないところが潔い。


タイの味を求めるなら、現地製品を輸入したものこそタイ風味そのものであるはず。それはそのとおりです。
しかし純タイ製品では、ときには、脂のうまさに通じない良質でない油とか、変質と紙一重の変容をとげたものに出会うことも残念ながらないではありません。
そこのところこのヤマモリ製品は、日本企業の現地法人または現地工場における製造ノウハウを十全に反映させたもののように感じられたのです。
すなわち、現地そのものの味わいと日本の製造技術の高次元における融合、とでもいいませうか。
やはりヤマモリは、ただものではありません。


ということで、過日Poreporeさんとお会いしたとき、こんどお目にかかるときは、ヤマモリ製タイラーメンを持参せんとす、というようなお話をしていたのでありました。
けふ近所のスーパーで再度調達してきました。ご教示のweb頁掲載のもの。包装に曰く、

本品は、現地の近代的な衛生管理の行き届いた工場で作られたインスタントラーメンです。

*1:土の下に口。