続・標識の意味
問題の所在
承前。所轄都道府県警察本部交通規制課に電話して訊いた結果、次の回答を得ました。
設問: 指定方向外進行禁止(311-Aなど)の本標識に附置された補助標識上、「一方通行路」の文字とともに表記された矢印の意味如何。
回答: 規制理由(510の2)として、一方通行の方向を表示するものである。規制区間の始まり(505-A)や終わり(507-A)を意味しない。
これは常識に一致する解釈と思います。右折禁止や左折禁止の標識に、その規制区間の始まりを示す補助標識はなじまないように思われるからです。
とはいえ、電話では回答の根拠を明確にすることができなかったので、改めて考えてみました。
推論
1. 補助標識の矢印の色について
1.1 補助標識の矢印の色は、法令で「赤色又は黒色」と定められているのみである。
1.2 したがって、法令上、補助標識の矢印の色によってその表示する意味が区別されているわけではない。
1.3 以上から、黒矢印が規制区間の始まり(505-A)や終わり(507-A)を意味するとの法令解釈はありうる。
2 設問の文字表記について
設問のように「一方通行路」と表記された補助標識は、規制理由(510の2)に該当する。
3 1.と2の関係について
3.1 複数の補助標識を1枚の補助標識板に表記することは一般に行われている。
3.2 ただしその場合、補助標識の表示する意味ごとに、横罫線で区切られていることが多いように見受けられる。
3.3 設問の例は、文字と矢印が横罫線で区切られていない。
4 結論
以上から、設問の矢印と「一方通行路」の文字は一体をなし、規制理由(510の2)を構成すると解するのが妥当である。
推論の根拠
1.1 「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」別表第2。mameさんのご指摘により判明。
備考
二 補助標識板(補助標識の標示板をいう。)
(三) 色彩
1 地を白色、矢印を用いるときはこれを赤色又は黒色、文字又は矢印以外の記号を用いるときはこれを黒色とする。ただし、「終わり(507-C)」を表示する補助標識については、斜めの帯及び枠を青色、縁及び地を白色とする。
1.2・1.3 私見。警察本部に確認した。
2・3.1 警察本部回答。
3.1・3.2 その根拠となる法令上の明文規定はみあたらない。
3.2 私見。
3.3 事実。
4 私見。
付記
警察本部の話では、設問のような「一方通行路」と黒矢印の補助標識は、現在新設をやめ、既設のものは更新の際に順次撤去しているところだそうです。
誤解や混乱のもとになっているのかもしれません。