年季の黒

旧西独海軍のために開発された潜水時計を民生用に小型化、男女兼用としたものについて、某所で話題になっています。画像は2/4付掲載。


松山文献 *1を新刊で読んだ折、チタン製で黒と銀の2種あると知りました。
その後まず黒色が、次いで製品そのものが製造中止になったと知り、寂しく思った記憶があります。
それからもうずいぶん経ちます。中古市場で黒を目にすることはまずありませんでした。


塗装は剥離したりするから、永く使うには適さないだろなーと思ってたところが。
販売後17年を経た中古品を手にとってみて驚きました。剥離どころか、まるで黒色が表面から素材内部へ徐々に浸潤したような感じです。
磨耗の度合いに応じて色の濃淡が形成されているかのような、いい雰囲気の年季の入り加減でした。


全体にまるみを帯びた意匠は、障害物などに引っかかるのを避ける実用上の要請によるものだそうです。
腕につけた小石、という感じをめざして開発されたと伝えられています。まさにそのとおり。
軍納入品の風防は視認性低下を避けるべく平面にしてあるそうですけど、民生品の曲面風防はなめらかな石のような美しさを湛えています。

*1:2/28付。