何を考えるのか

俺たちに明日はない [DVD] アーサー=ペン監督"Bonnie and Clyde"「俺たちに明日はない


中学のころ「日曜洋画劇場」で断片的に見たのが最初。掉尾の情景は翌日学校で話題になりました。
まともに見たのは大学時代、月曜夕方の演習が休講になった日に名画座で。わたくしはさぼって行ったりしないんです。


印象に残ってたのは、重傷者のうわごとでした。
"I believe I lost my shoes, I think the dog got them."
瀕死で甦る幼時記憶。突然のこのことばをきいて、周りの登場人物は凍りついたようです。
死への恐怖が観客に意識されるのはこのときが最初でしょうか。


作品に描かれようとしているものは何か?などという問いは評論にありがちだけど。
私は何を考えようとしているのか?
盗む勿れ、殺す勿れというなどという規範から逸脱する個人と社会のかかわりについて?
あるいは、人の尊厳を踏みにじることは権力に抗うこととは別次元で万死に値するのか?
いやもっと大きな、もしかしたら生涯かけて考えねばならぬ問題をこの作品は孕んでいるのかもしれません。


およそ70年前の事件だそうで、映画化されたのは現在との中間点あたりになるわけですね。
撮影には当時のまま残っていた町が使われたりした由。生き証人も多くいたそうです。


改めてフェイ=ダナウェイにヤラレタ。表情の豊かさというか。