自転車総合対策(中間のまとめ)について

東京都青少年・治安対策本部交通安全課
自転車総合対策(中間のまとめ) 意見募集担当 様


住所・氏名・年齢 (略)


「自転車総合対策」の趣旨に大筋で賛同します。その実現に期待いたします。
パブリックコメント募集をうけて、主に道路交通のあるべき姿に関し、私の意見を申し述べます。



梗概


 自転車を交通手段として活用するために、すべての道路で自動車と共存させる。分離策は限定的なものとして扱う。
 共存は現行法制下で可能である。その実現のために、強者としてふるまう自動車等運転者への教育・取締りにも重点をおく。
 歩道では自転車通行可の指定の原則廃止、車道では自転車の通行すべき部分の路面表示なども進める。



Ⅰ 考えかたの基本



 道路交通のあるべき姿について、次のような考えかたを基本に据えます。
 これに基づいて、実現のための個別具体的諸施策を検討・実施します。



1 問題の所在は? 〜すべての道路で自転車・自動車等・歩行者が共存するにはどうするか


 自転車を交通手段として活用するために、すべての道路で、自転車・自動車等・歩行者が共存しうるしくみをつくります。


 道路の構造や設備などによって、自転車・自動車等・歩行者を分離することが有効な場合もあるかもしれません。
 空間や予算などの制約が小さいならそれも選択肢のひとつとなりうるでしょう。
 しかし、すべての道路でその方法をとることは不可能です。分離策は限定的なものにとどまるといわざるを得ません。 


 すべての道路で、自転車・自動車等・歩行者が、限られた空間を、安全に・円滑に共有するには、どうすればよいか。
 自転車を交通手段として活用するための問題の端緒をまずここに定め、具体策を画定していきます。



2 自転車が共存すべき相手は? 〜歩行者よりむしろ自動車


 自転車が歩行の代替にとどまっては、交通手段としての有効性は著しく損われます。
 自転車は、車道で自動車等と共存することができるなら、とりわけ都市部では、自動車に代替しうる交通手段になります。

 


3 共存のルールを明らかにするには? 〜現行道交法で自転車と自動車は同列


 現行の道路交通法は、いくつかの例外を除いて、自転車を自動車等と同列に扱っています。
 自転車と自動車等との関係、歩行者との関係についても、明らかに定めています。
 法定の意図が十全に実現されるならば、自転車・自動車等・歩行者を安全・円滑に共存させることができるはずです。


 現行法制にも軽微な不備や矛盾はあります。それらは国政レベルで解決を図ります。
 都は現行法制下ででできることを実施します。都公安委員会による規制の見直し、道路交通規則の改正などです。



4 人々がルールを知り、守るようにするには? 〜強者への教育にも重点をおく


 道路交通のルールは、人々に十分に知られ、かつ守られているとはいえないのが現状です。
 若年層や運転免許をもたない人々を対象の中心として、交通ルール教育の充実を図ります。


 併せて、自動車を運転する人々への教育や取締りも重要課題と位置づけます。
 自動車は自転車に対して強者としてふるまうことがあるからです。



5 教育において人の心の問題は? 〜他者を邪魔と思う心、ルールを守らなくてあたりまえと思う心を改めるには

 
 自動車は車道で自転車を邪魔と思う。自転車は歩道で歩行者を邪魔と思う。
 ルールを守るなんてえらそうなこといっても、スピード違反くらい誰もやってるだろう。
 人々のこうした心を改めるにはどうするか。

 
 道路上では互いに対等。それぞれにふさわしい義務と責任を負う。
 ルールは人が作る。必要があれば改める。作った以上は守る。守らないのは恥ずかしい。あるいは、守らないと罰せられる。
 教育や取り締まりにおいて、ルールや人の心のありかたをこのように変えることをめざします。



Ⅱ 具体策の例



1 自転車通行可の歩道の原則廃止

 
 原則として、都公安委員会は、歩道の自転車通行を認める意思決定を行わない。
 例外は次のような場合とする。
  すでに十分な幅員のある歩道などが整備されている場合。
  自転車の車道通行が自動車交通の円滑を著しく損ねるような場合。



2. 道路標示に準じた路面表記の充実


 法定または公安委員会指定の内容をよりわかりやすく当事者に伝えるために、道路標示に準じ、記号・文字を用いた路面表記を充実させる。


2.1. 車道上
 2.1.1 車両通行帯の設けられていない道路では、車道左側端に、自転車が通行すべき旨の記号等と進行方向を表記する。
 2.1.2 車両通行帯の設けられた道路では、最も左の車両通行帯全域に、自動車等と自転車が通行すべき旨の記号等と進行方向を表記する。
 2.1.3 車道と歩道の間には車道外側線を設けないこととし、路側帯との混同・誤解を防ぐ。
2.2. 歩道上
 2.2.1 自転車通行可の指定のない歩道では、自転車通行不可の旨表記する。
 2.2.2 自転車通行可の指定のある歩道では、自転車徐行の旨表記する。  
 2.2.3 自転車通行可で十分な幅員があれば、自転車の通行すべき部分に自転車と歩行者、他の部分に歩行者の記号等をそれぞれ表記する。



3 自動車等の取締り強化と公安委員会の弾力的意思決定


 車道における自転車の脅威となりうる自動車等の違法行為について取締りを強化する。
 少々の違反なら取締りを受けない、などと自動車等の運転者に広く蔓延する悪しき認識を払拭することもねらう。

 
 併せて、公安委員会による規制について常時見直しを行い、交通の安全と円滑のために適切でないものを改める意思決定を弾力的に行う。
 以上から、適切でないきまりは改められること、きまりを守らなければ罰せられることを徹底し、自動車運転者の遵法意識を高める。



4 道路交通規則の機動的改正

 
 上位法令に定めのないことに関して、政策目的実現のため、道路交通規則の改正を機動的に行う。 
 たとえば、第8条(運転者の遵守事項)に次のような趣旨の定めを設ける。
 4.1 音量にかかわらず、両耳でイヤホーン等を使用して車両等を運転しないこと。
 4.2 火のついたたばこを所持して車両等を運転しないこと。



以上。