パブリックコメント草稿 '07/1/4

現在の走り書きです。時間切れの答案のようなものなので、追って改版します。
論拠や構成は概ね拙稿において既出と思います。
もし参考になると思われるかたいらっしゃれば適宜利用してください。

道路交通法改正試案」(以下「試案」)中、「3 自転車利用者対策の推進」に条件つきで賛同いたします。



賛同する理由


 「3 自転車利用者対策の推進」のよりどころたる「自転車の安全利用に促進に関する提言」 (以下「提言」)は、次のような方針を示していると理解します。
  1 自転車の特性を発揮させ、有益な交通手段として活用するために、自転車の車道通行の原則を維持する。
  2 歩道では歩行者が最優先とされるべきことをふまえ、自転車の歩道通行は要件を限定して例外的に認める。


 「提言」の示す方針をこのように解しうるならば、「提言」は妥当なものであると考えます。
 よって、「提言」の示すこれら方針の実現に資するかぎりで、「試案」に賛同いたします。



条件つきとする理由


 「提言」の方針を実現するために、「試案」には次のような問題があると考えます。 


 1 自転車の車道通行という原則を維持するためには、車道通行の安全を確保することが前提となるはずです。
  しかし、車道の安全に大きく関与する自動車などのふるまいについて、「試案」も「提言」も、なんら言及がありません。


 2 自転車の歩道通行という例外を局限するためには、歩道通行の要件を厳格に法定・運用することが必要です。
  しかし、「試案」の示す要件は曖昧で、かつ現行法第63条の4第1項の運用について言及がありません。


 3 自転車の車道通行原則の例外について付言すれば、
   「提言」の所謂「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止するなどの措置を講ずること」(21頁)
   についても、「試案」に言及がありません。


 以上から、「試案」は、自転車の車道通行原則を維持するための具体的方法論を欠き、かつ、例外を局限するための要件を曖昧にしているといわざるをえません。
 かかる「試案」が実現したとしても、自転車の車道通行原則が蔑ろにされている現状は変わらず、かつ、歩道通行の無秩序はより拡大する結果をもたらすことが懸念されます。


 よって、改正法とその運用において、これら問題点の解決策を補う必要があると考え、「試案」賛同を条件つきとするものです。



解決策の提案


 賛同の条件として、以下の内容を改正法及びその運用に加えるべきものであると考え提案いたします。


 1. 自転車の車道通行原則を維持・強化、例外を徹底排除する。


  1.1 区間などを定めて自転車の車道通行禁止を都道府県公安委員会が意思決定する際の手続について、たとえば
   i ) 道路管理者、地域住民等との協議手続を政令などで定める。「提言」21頁の趣旨を実現するため。
   ii) 都道府県公安委員会の努力義務を法定する。
  1.2 警察官が自転車を用いて職務にあたる際など、自ら模範的に行動できるよう、全警察職員への指導教養を徹底して行う。


 2. 自転車と車道で共存すべき自動車の運転者教育・取締りを徹底する。


  2.1 自動車が自転車と車道で共存する適法妥当な方法を自動車運転者に徹底して教育する。運転免許取得・更新の際の教育を活用するなど。
  2.2 車道における自動車の自転車保護義務を改正法に明定する。場合によっては厳罰化も。


 3. 自転車が歩道通行「することができる」条件を限定列挙し、恣意や裁量の介入する余地を排除する。


  3.1 現行法における「自転車歩道通行可」指定について、その意思決定を行うための要件を改正法令に明定する。歩道の幅員、公安委の努力義務など。
  3.2 改正法に新設する「歩道通行可」の要件は、その解釈や運用に恣意や裁量の介入する余地を排除する。運転者の年齢を明定するなど。



その他意見


 「試案」中「3(2) 児童・幼児のヘルメット着用の促進」に関して、すべての自転車利用者はヘルメットを着用するように努めなければならないこととすべきであると考えます。



付言・パブリックコメント手続について


 「試案」はなお具体性を欠く内容を多く含むので、警察庁による改正法案を以て再度パブリックコメント手続を実施することを求めます。 

うむむ。なお具体的に詰めねばならぬことがいろいろありますね。次版への課題とします。