パブリックコメント提出稿

1月4日版から全面改訂して締切15分前に送信。
論旨は変えず表現を改めたほか、自転車通行帯と手信号に関する不合理な定めの改正、両耳のイヤホーン使用禁止などを追加して提案しました。
枠内太字引用者。

件名: 「道路交通法改正試案」へのパブリックコメント
差出人: (略)
TO: koutsukyoku@npa.go.jp
送信日時: Sunday, January 28, 2007 11:45 PM
サイズ: 10KB

    • -

koutsukyoku@npa.go.jp 宛
警察庁交通局交通企画課法令係パブリックコメント担当 御中


「『道路交通法改正試案』に対する意見の募集について」(平成18年12月 警察庁交通局)により意見を提出します。


2007年1月28日


氏名・住所・電話番号・電子メールアドレス (略)

    • -


目次
I 「3 自転車利用者対策の推進 (1) 通行区分の明確化」に関する提案
II その他現行法改正の提案
III 「試案」に関するその他の意見

    • -


I 「3 自転車利用者対策の推進 (1) 通行区分の明確化」に関する提案



提案内容


1. 自転車と車道で共存すべき自動車の自転車保護義務を法定、併せて運転者教育・取締りを徹底する。


1.1 車道における自動車の自転車保護義務を罰則とともに改正法に明定する。
1.2 自動車が自転車と車道で共存する適法妥当な方法を自動車運転者に徹底して教育する。そのために運転免許取得・更新の際の教育を活用する。この項は法改正不要である。


2. 普通自転車が例外的に歩道を通行することができる場合の要件を局限し、その運用に恣意や裁量の介入する余地を排除する。


2.1 法第63条の4第1項による普通自転車歩道通行可の規制は、幅員4.0m以上の歩道に限り、かつ、自転車の通行すべき部分を路面上に指定して行う旨、法本則に定める。 
2.2 これを確実に実施するため、公布後施行までに2年程度の時間をおき、条件を満たさない歩道の「自転車通行可」の規制解除を進める。
2.3.「試案」中、「普通自転車が例外的に歩道を通行することができる場合の要件」として掲げている事項を次のように改める。
 2.3.1 「児童(6歳以上13歳未満の者)」を「児童(6歳以上10歳未満の者に限る)」に改める。
 2.3.2 「、車道を通行することが危険である場合等」を削除する。 


3. 自転車の車道通行原則に反する措置を局限するための手続を法定する。


3.1. 都道府県公安委員会が自転車の車道通行禁止の意思決定を行う際の手続について、次の趣旨を法本則に定める。
 3.1.1 都道府県公安委員会は、政令で定めるところにより、道路管理者、地域住民、道路利用者等と協議を行わなければならない旨。
 3.1.2 都道府県公安委員会は、自転車の交通の円滑を尊重するようにつとめなければならない旨。
3.2. 現在、自転車通行止めの規制を行う際の基準として警察庁交通局長通達などに定められている次のような内容を法本則または政令で定める。
 3.2.1 オーバーパス、アンダーパス又はトンネル等で、自動車の通行が多く、かつ十分な車道幅員がないため、軽車両の混在通行により交通事故が発生するおそれのある道路。
 3.2.2 急勾配又は屈曲等、道路構造上、軽車両の通行が著しく危険であると認められる道路。



提案理由


現在、道路交通全般にわたり次の問題がある。


1 道路交通の当事者に法令の定めが十分に知られていない。
2 取締りが警察行政の裁量に委ねられがちである。
3 これらのため、法令は知らなくてあたりまえ・守らなくてあたりまえ、との風潮が世に蔓延し、法令の意図する秩序が実現されていない。


このことは、自転車に関することにおいて次のように顕著である。


1 自転車の車道通行が法令の定める原則であるにもかかわらず、車道における自転車通行の安全と円滑は主に自動車のふるまいによって蔑ろにされている。
2 自転車の歩道通行は法令の定める例外であるにもかかわらず、車道の危険を避けるため、あるいは法の無知のため、歩道の自転車通行が無秩序に行われ、これにより歩行者の安全が損なわれている。


現行の道路交通法令は、これらの問題を生起させない、あるいは解決するために、いくつかの要修正点はあるものの、一定の合理性をすでに備えている。
それゆえ、法令の定めるところを徹底して実現するだけで、問題解決に相当の効果が期待できるはずである。


以上をふまえ、「試案」中「3 自転車利用者対策の推進」のよりどころたる「自転車の安全利用に促進に関する提言」 (以下「提言」)について、その示す方針を現行法令の趣旨を徹底するものとして、次のように解する。


1 自転車の特性を発揮させ、有益な交通手段として活用するために、自転車の車道通行の原則を維持する。
2 歩道では歩行者が最優先とされるべきことから、自転車の歩道通行は要件を局限して例外的に認める。


しかし、「提言」及びその方針を実現するための「試案」には次のような問題がある。 


1 自転車の車道通行という原則を維持するためには、車道通行の安全を確保することが前提となるはずである。
 しかし、車道の安全に大きく関与する自動車などのふるまいについて、「試案」も「提言」も、何ら言及していない。


2 自転車の歩道通行という例外を局限するためには、歩道通行の要件を厳格に法定・運用することが必要である。
 その要件はすでに現行法第63条の4第1項に明定されているにもかかわらず、「試案」は新たに「車道を通行することが危険である場合」という曖昧な要件を掲げている。
 また、法第63条の4第1項により、どのような歩道で「普通自転車通行可」の規制を実施すべきなのか、「試案」は何ら言及していない。


3 自転車の車道通行禁止という例外を局限するためには、
 「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止するなどの措置を講ずること」(「提言」21頁)
 の運用に厳正を期す必要があるのに、このことについて、「試案」は何ら言及していない。


以上から、「試案」は、自転車の車道通行原則を維持するための具体的方法を欠き、かつ、例外を局限するための要件を曖昧にしているといわざるをえない。
かかる「試案」が実現したとしても、車道で自転車の車道通行原則が蔑ろにされている現状は変わらず、かつ、歩道通行の無秩序はより拡大する結果をもたらすことが懸念される。
よって、改正法とその運用において、これら問題点の解決策を補う必要があるので、上掲のことを提案する。

    • -


II その他現行法改正の提案


 現行法において、遵守することが却って危険を伴うような定めを改めることを提案する。



1 法第63条の7第1項を次のように改める。


 「自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第17条第4項並びに第34条第1項及び第3項の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行することができる。」


 理由


 現行法に遵うと、自転車が交差点を直進しようとするときは、次の方法によらなければならない。


 1 進行方向に自転車横断帯があるか否かを確認する。
 2 自転車横断帯がある場合は、自転車横断帯を進行しなければならず(63条の7第1項)、車道を直進できない。
 3 自転車横断帯がない場合は、車道を直進できる。その際、左折専用車線を直進してよい(35条第1項)。

 
 しかし、この方法には、次のように、自転車交通の安全と円滑を阻害する結果をもたらし、法の目的に反する点で問題がある。


 1 自転車横断帯の有無は直近までわからない例が多く、自転車が車道を高速で直進することの妨げになる。
 2 車道から自転車横断帯を進行する場合、車道からいったん左折するような動作のあと、右方向へ進路を変えて自転車横断帯を進行することとなり、左折しようとする自動車等との事故の危険が増す。
 3 左折専用車線を自転車が直進することを、自動車運転者などが想定していないおそれがある。



2 法第53条第1項を次のように改める。


 「車両(自転車以外の軽車両を除く。第3項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をしなければならない。かつ、車両(軽車両を除く。)の運転者は、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。」


 理由

 
 自転車を運転しながら、右左折や停止などの行為が終わるまで手による合図を継続することは危険を伴う。

    • -


III 「試案」に関するその他の意見



1 「2 高齢運転者対策等の推進 (4) 聴覚障害者の運転免許に関する規定の整備」の項

 
 試案のいう「* 聴覚障害者は、交通状況の確認をすべて視覚により行うために、危険の発見が遅れるおそれがある」という見方にたち、車両運転者の聴覚を妨げる行為を法本則で禁止すべきである。


 これについて、法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車の運転者が遵守しなければならない事項として公安委員会が必要と認めて定めている例がある。たとえば東京都道路交通規則(昭和46年11月30日公安委員会規則第9号)。
 「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと(第8条第3号)。」


 このような内容を法本則に定めるべきである。かつ、イヤホーン等で両耳を塞ぐことは、その使用音量にかかわらず、行為自体を禁止すべきである。



2 「3 自転車利用者対策の推進 (2) 児童・幼児のヘルメット着用の促進」の項


 すべての自転車利用者はヘルメットを着用するように努めなければならないこととすべきである。



3 「3 自転車利用者対策の推進 (2) 街頭活動の活性化」の項


 警察官が自転車を用いて職務にあたる際など、自ら模範的に行動できるよう、全警察職員への指導教養を徹底して行うべきである。これについて法改正は不要である。
 制服警察官の自転車通行の模範的ふるまいは、自転車利用者のみならず、歩行者や自動車運転者に対しても大きな啓蒙効果を発揮することが期待される。

    • -

以上