憧れのきょうせん

その昔、初めての海外出張にして初めての欧州旅の折。
倫敦の場末で得体のしれぬ内臓ひと揃いを喰ってて、動脈瘤のような?何やらとろけるような脂くさいような、えもいわれぬ代物にめぐりあったのです。
その衝撃たるや、生まれて初めてふぉわぐらを食したときを思い出させるようでした。


これは何かと尋ねても要領を得ないので、紙に書かせたら"sweetbread"という。宿に帰って辞書引いたら胸腺ですって。何それ?
ともあれ、それからというもの、獣の品書きではまずsweetbreadを探すのが標準作業手順となったのでした。


そのあと巴里に移動してからだったか、あるいは翌年の出張のときだったか、sweetbreadはないのかと訊くと、どうやら"ris de veau"というものがそれらしいとわかりました。
注文してみると、仏蘭西れうりらしく洗練されてはいても、まさにそれ。
しばらくはもうsweetbreadでもris de veauでもいいから持って来〜い!って感じでした。


考えてみたらそれ以来、本邦ではお目にかかってないんじゃないかな?
あー、喰ひたくなってきたよ!