ながめぞあかぬ

4/20付にて告知の催事、日曜の初日に次いで昨日再訪。この日記にも時折コメント下さる加藤さんの個展です。
大書店建物最上階の事務所風の一室を開放、壁際に置かれた事務用机の上に、キャンバスの原画が並べられています。


下掲書所収作の多くを排列もほぼそのままに再現しているようです。とはいえ、画集とは異なる迫力に圧倒されました。
遠くからは、とくに光のあたる部分の表現がきわだつ。近く寄っては、人工物などの緻密な筆致に目を瞠る。額縁もガラスもなく、布目を間近に見れる状態です。
とりわけ、下掲書表紙に用いられている作品など、一面に黄色っぽいところが、絵の具の凹凸で細かい線や模様を描き出されてあるのは驚異でした。
ながめぞあかぬ。
いえ、もとより絵画などには鑑賞眼審美眼の乏しいわたくしにして。


会場内に画材や電算機器などが搬入されていて、会期中、ここを画家の仕事場にしてしまおうという趣向です。
日曜日には30分ほどの間に、制作中のキャンバスの印象が一変したのに驚きました。


絵画だけでなく、自転車界では夙に知られた超軽量小径車3輛、会場への通勤用ロードレーサー1輛なども展示されています。
併せて、小径車改造の際の工房との往復書翰や仕様書などの切抜帖も拝見することができます。


日によって、加藤さんとご親交のある各界著名人との対談も企画されています。
初日はイラストレーター、モデラー横山宏氏、昨日は自転車を題材にした漫画で知られる宮尾岳氏。
どちらも実に濃い内容でした。そのままテレビ番組になりそうな感じでした。
ありきたりですけど、人生の一端を垣間見た気がしました。いかなる分野でも、その道を究めるかたのことばには打たれるものがあります。


それはそうと、ご本にサインをお願いするの、なんとなく言いそびれちゃったなあ。


加藤直之「SF画家 加藤直之 時空間画抄」ラピュータ、2007年。ISBN:9784947752574 (4947752572)