パブリックコメント提出稿

kogkog2008-04-05


4/1付からつづく。

件名: 「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」へのパブリックコメント
差出人: (略)
TO: koutsukyoku@npa.go.jp
送信日時: Saturday, April 5, 2008 11:33 PM
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koutsukyoku@npa.go.jp 宛
警察庁交通局交通企画課法令係パブリックコメント担当 御中


「『道路交通法施行令の一部を改正する政令案』に対する意見の募集について」(平成20年3月 警察庁交通局)により意見を提出します。


2008年4月5日


氏名・電話番号・電子メールアドレス (略)

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梗概


交差点における自転車の通行方法には多くの問題がある。
この解決のため、法律と政令の定めを次のような趣旨に改めるべきである。


1. 交差点における自転車の通行方法
 1.1 車道を通行してきた自転車は、交差点を通行しようとする場合において、引き続き車道を通行しようとするときは、自転車横断帯や横断歩道の有無にかかわらず、車道を進行することができる。
 1.2 歩道を通行する普通自転車は、交差点を通行しようとする場合において、自転車横断帯があるときは、自転車横断帯を進行しなければならない。
 1.3 歩道を通行する普通自転車は、交差点を通行しようとする場合において、自転車横断帯がない場合に限り、横断歩道を進行することができる。


2. 交差点において自転車が従う信号
 2.1 車道を進行しようとする自転車は、原則として、車両が従うべき信号に従う。
 2.2 自転車通行帯または横断歩道を進行しようとする自転車は、歩行者が従うべき信号に従う。

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本文目次


1. 現状の問題
2. 改正概要
3. 条項改正案
4. その他付随する意見

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1. 現状の問題


交差点における自転車の通行方法には、次に掲げるように、多くの問題がある。


1.1 自転車横断帯に関する問題


 現行法令に遵うと、自転車が交差点を直進しようとするときは、次の方法によらなければならない。
 (1) 進行方向に自転車横断帯があるか否かを確認する。
 (2) 自転車横断帯がある場合は、自転車横断帯を進行しなければならず(法第63条の7第1項)、車道を直進できない。
 (3) 自転車横断帯がない場合は、車道を直進できる。その際、左折専用車線を直進してよい(法第35条第1項)。


 しかし、この方法には、次のように、交通の安全と円滑を阻害する結果をもたらし、法の目的に反する点で問題がある。
 (1) 自転車横断帯の有無は直近までわからない例が多く、自転車が車道を高速で直進することの妨げになる。
 (2) 車道から自転車横断帯を進行する場合、車道からいったん左折するような動作のあと、右方向へ進路を変えて自転車横断帯を進行することとなり、左折しようとする自動車等との事故の危険が増す。
 (3) 左折専用車線を自転車が直進することを、自動車運転者などが想定していないおそれがある。


1.2 自転車が従う信号に関する問題


 現行法令に遵うと、自転車が交差点を通行しようとするときは、自転車横断帯や横断歩道の有無にかかわらず、次の方法で信号に従わなければならない。 
 (1) 進行方向に人の形の記号を有する燈火を表示する信号機があるか否かを確認する。
 (2) 当該信号機がある場合は、「歩行者・自転車専用」等の表示があるか否かを確認する。
 (3) 当該表示がある場合は、人の形の記号を有する燈火に従う(法第7条、令第2条第4項)。
 (4) 当該表示がない場合は、人の形の記号を有する燈火以外の信号に従う(法第7条、令第2条第1〜3項・第5項)。


 しかし、この方法は複雑で、自転車運転者に過大な負担を強い、交通の安全と円滑を阻害する結果をもたらし、法の目的に反する点で問題がある。


1.3 自転車の横断歩道進行に関する問題


 自転車の横断歩道進行について、現行法令には何ら定めがない。
 これは自転車の無秩序な横断歩道進行を助長し、交通の安全と円滑を阻害する結果をもたらし、法の目的に反する点で問題がある。

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2. 改正概要


交差点における自転車の進行方法の問題を解決するため、法令の定めを次のような趣旨に改めるべきである。


2.1. 交差点における自転車の通行方法
 2.1.1 車道を通行してきた自転車は、交差点を通行しようとする場合において、引き続き車道を通行しようとするときは、自転車横断帯や横断歩道の有無にかかわらず、車道を進行することができる。
 2.1.2 歩道を通行する普通自転車は、交差点を通行しようとする場合において、自転車横断帯があるときは、自転車横断帯を進行しなければならない。
 2.1.3 歩道を通行する普通自転車は、交差点を通行しようとする場合において、自転車横断帯がない場合に限り、横断歩道を進行することができる。


2.2. 交差点において自転車が従う信号
 2.2.1 車道を進行しようとする自転車は、原則として、車両が従うべき信号に従う。
 2.2.2 自転車通行帯または横断歩道を進行しようとする自転車は、歩行者が従うべき信号に従う。


2.3 「歩行者・自転車専用」等の表示
 人の形の記号を有する燈火を表示する信号が歩行者及び自転車に対して意味を表示するものである旨の「歩行者・自転車専用」等の表示は、上記2.1.及び2.2.によりその意味が失われるので順次廃止する。

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3. 条項改正案


交差点における自転車の通行方法の問題を解決するため、法律と政令をそれぞれ次のように改めることが考えられる。
以下、改正前の条項に追加する部分を<>で、表の欄の区分を…でそれぞれ示す。


3.1 法第63条の4第1項を次のように改める。


法第63条の4第1項 普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項の規定にかかわらず、歩道<(自転車横断帯がない場所の付近における横断歩道を含む。以下この条において同じ。)>を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
 第1号 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
 第2号 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
 第3号 前2号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
同条第2項 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。


3.2 法第63条の7第1項を次のように改める。


法第63条の7第1項 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第17条第4項並びに第34条第1項及び第3項の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。<ただし、車道を通行してきた自転車が引き続き車道を通行しようとするときは、この限りでない。>


3.3 令第2条第1項を次のように改める。


令第2条第1項 法第4条第4項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする。


信号の種類… 青色の灯火
信号の意味… 
1 歩行者は、進行することができること。
2 自動車、原動機付自転車(右折につき原動機付自転車が法第34条第5項本文の規定によることとされる交差点を通行する原動機付自転車(以下この表において「多通行帯道路等通行原動機付自転車」という。)を除く。)、トロリーバス及び路面電車は直進し、左折し、又は右折することができること。
3 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。<青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。>)し、又は左折することができること。


(略)


信号の種類… 人の形の記号を有する青色の灯火
信号の意味…<1> 歩行者は、進行することができること。<2 横断歩道等を進行しようとする普通自転車(法第63条の3に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第26条第3号において同じ。)は、横断歩道等において直進をし、又は左折することができること。>


信号の種類… 人の形の記号を有する青色の灯火の点滅
信号の意味…<1> 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、すみやかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。<2 横断歩道等を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。>


信号の種類… 人の形の記号を有する赤色の灯火
信号の意味…<1> 歩行者は、道路を横断してはならないこと。<2 横断歩道等を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。>


(略)


3.4 令第2条第4項を削除する。

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4. その他付随する意見


4.1 黄色信号冒進防止について


 黄色の燈火の信号を冒して進行する車両があとをたたない。この背景として次のことが考えられる。 
 (1) 黄色信号の「停止位置をこえて進行してはならない」の意味が理解されていない。
 (2) 黄色信号で、あるいは黄から赤に変わった直後に進行したとしても、横方向の信号は赤だから、ただちに事故などの危険は生じないと考えられている。


 そこで、黄色信号冒進を防ぎ、交差点における交通の安全を期するため、次の策を講ずる必要がある。
 (1) 黄色信号の意味を車両運転者に広く知らしめ、かつ遵守させるよう啓発を図ること。
 (2) 交差点においてすべての信号が赤色を現示する時間をなくすこと。


4.2 自転車の複数人乗車について


 専用の乗車装置を備え、安全に十分配慮して設計された自転車や被牽引車について、複数人乗車が広く認められるよう、法令を改めるべきである。
 この場合、自転車の乗車人員に関する法令の定めは、都道府県公安委員会規則ごとに異なる場合があり、都道府県境をこえて自転車を利用する場合の制約となるから、全国共通のきまりとして、法律または政省令により定めることが望ましい。
 また、複数人乗車の自転車については、歩行者に対する危険が増すことから、歩道通行を認めてはならない。

 
4.3 自動車運転者に対する広報啓発について

 
 「自転車の安全な通行方法等に関する検討懇談会」の報告書「自転車の安全利用のための通行方法等について」(平成19年12月)も指摘するように、「自動車運転者に対し、車道において自転車と適切に共存するという意識付けを図り、自転車の安全への配慮を徹底することが強く求められるところである。」(13頁)。
 これについて同報告書の掲げる具体策を実施することはもとより、さまざまな方法で自動車運転者に対して広報啓発を図ることが、車道における自転車の安全を確保する上で重要である。 

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以上