「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案に関する意見


10月27日付からつづく。
ワープロで印刷して郵送したきり、web掲出は文字修飾が面倒なのでほったらかしにしてました。
原文の下線を赤字におきかえ、その他マル数字とか改行とか行間とかセンタリングとか右寄せとかは適宜修正してます。

2008年10月27日
神奈川県保健福祉部健康増進課 御中


(住所・メールアドレス・電話・自署)


「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案に関する意見


 本条例骨子案の趣旨に賛同いたします。本条例制定及びその目的の実現のために、骨子改定案とともに意見を申し述べます。


1. 価値観や文化の醸成
 本条例骨子案に加え、次のような価値観や文化を醸成する必要がある。


1.1 人前での喫煙は迷惑行為である。
1.2 屋外の喫煙も他人に健康被害と迷惑を及ぼす。
1.3 他人の行為を迷惑と感じたときはその行為者に対してそれが迷惑である旨指摘するのは当然のことである。
   他人から迷惑である旨指摘されたときはその行為を中止するのもまた当然である。


2. 背景


2.1 迷惑行為としての位置づけ
 人前での喫煙は他人に健康被害をもたらす以前に、それ自体、迷惑行為である。このことを条例の考え方に明定する必要がある。
 受動喫煙健康被害が重視されるあまり、健康被害が軽微であれば受動喫煙も容認されてしかるべきであるなどとの誤解が生ずることは避けなければならない。
 

2.2 屋外の喫煙抑制
 室内の喫煙を制限する結果、屋外での喫煙行動の増加が予想されることから、これを抑制する策が必要である。
 参考として、「屋外における受動喫煙防止に関する日本禁煙学会の見解と提言」(2006年)は次のように結論づけている。
 「ひとりの喫煙者によるタバコ煙の到達範囲は直径14メートルの円周内である。複数の喫煙者が同時に喫煙する場合は、この直径が2〜3倍以上となる。」「屋外の受動喫煙を防止するための行政上の最上の対策は、路上および公共施設敷地内全面禁煙である。」
 http://www.nosmoke55.jp/action/0603okugai.html


2.3 迷惑行為の指摘と喫煙の中止
 喫煙する者は自らの行為が他人に迷惑を及ぼしていることに気づいていない場合がある。
 受動喫煙の迷惑を受けている者がそのことを指摘しやすくする条件を整えることは、受動喫煙防止の実効を高める上で重要である。


3. 骨子案改定の趣旨
 以上をふまえ、さらに本条例制定及びその目的の実現のために、骨子案を次のような趣旨により改定すべきである。
 以下にそれぞれ趣旨と改定条項を示す。


3.1. 実効を伴う改定
 3.1.1 この条例は県民のみならず「本県の区域内に居住、もしくは滞在し、又は本県の区域内を通過する者」をも対象とすることを定める。 2, 3( )追加, 4(1)マル1・マル2, 4(2), 9(1).
 3.1.2 特定の第2種施設について設けられた猶予期間を廃する。
  「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」第8条「たばこの煙にさらされることからの保護」について同条約に基づく「受動喫煙からの保護に関するガイドライン」24.の定める期限2010年2月を経過して猶予期間を設けてはならない。 別表ただし書, 10(3).
 3.1.3 喫煙する者の負う義務を定める。 6( )追加.
 3.1.4 施設管理者の屋外における義務を定める。 6(2)マル6・マル7.
 3.1.5 施設管理者の義務違反は例外なく知事の指導・勧告の対象とすることを定める。 7(2)マル2・マル4.
 3.1.6 この条例の見直しは禁煙又は受動喫煙防止策を推進するために行うものであることと定める。 11.


3.2. 表現方法等の改定
 3.2.1 この条例のめざすのは公共的施設における受動喫煙防止策としての禁煙であることを明示する。 1, 4(1)マル2・マル3, 4(2)マル2, 4(4)マル1・マル2, 11.
 3.2.2 受動喫煙は迷惑と健康被害をもたらすものであることを明示する。 2, 4(1)マル1, 4(2)マル1, 9(1).
 3.2.3 二次元的語感の「区域」に代え、より三次元的で物理的分割を連想しやすい「空間」を用いる。 3(10)〜(14), 5(4), 6(1), 6(2)マル3〜マル7, 6(3), 7(1).
 3.2.4 その他軽微な修正。 2(2), 3, 7(2)マル1, 9(1), 11(2).


4 骨子改定案
 以下、骨子改定案について、削除を 抹線 、追加を赤字の例によりそれぞれ示す。


1 条例名
 「神奈川県公共的施設における 受動喫煙防止 禁煙条例(仮称)」とする。


2 目的
 この条例は、受動喫煙による健康 影響 被害が明らかであることにかんがみ、県、県民及び事業者すべての主体が、あらゆる場面で受動喫煙防止に配慮した取組みを進めることを目的として制定する。
(1) 受動喫煙による迷惑と健康 影響 被害を未然に防止し、県民生活の平穏の保持と県民の健康の確保を図るため、県、県民及び事業者の責務を明らかにする。
(2) 県民が自らの意思で受動喫煙を避けられる環境の整備が促進され、成長過程にある未成年者が受動喫煙による健康 影響 被害から保護されるよう、不特定多数の者が出入りすることができる 公共的な 空間における喫煙の規制その他必要な措置について定める。
(略)


3 定義
 この条例で用いる用語の定義は、次のとおりと します する
(略)
( 4) 公共的施設
 公共的空間を有する施設で、別表に掲げる 施設 ものをいう。
(追加) 県民等
 本県の区域内に居住、もしくは滞在し、又は本県の区域内を通過する者をいう。

(略)
(10) 分煙
 別に定める基準を満たすように、公共的空間を喫煙 区域 空間と非喫煙 区域 空間とに分割することをいう。
(11) 喫煙 区域 空間
 分煙により、他の空間にたばこの煙が流れ出ないように分割された喫煙することができる 区域 空間をいう。
(12) 非喫煙 区域 空間
 公共的空間のうち喫煙 区域 空間及び喫煙所以外の 喫煙することができない区域 空間をいう。
(13) 喫煙所
 別に定める基準を満たすように区画されたもっぱら喫煙するための 区域 空間をいう。
(14) 施設管理者専用 区域 空間
 不特定多数の者が出入りすることのないもっぱら施設管理者の使用に供される 区域 空間をいう。


4 責務
(1) 県の責務
 マル1 受動喫煙 による迷惑と健康 影響 被害及び受動喫煙防止に関する知識の普及啓発その他の必要な施策を策定し、実施するとともに、県民 等 が受動喫煙による迷惑と健康被害を受けることがないよう環境を整備すること。
 マル2 禁煙又は受動喫煙防止の推進に関する施策の策定及び実施に当たって、県民 等 、事業者、市町村等との連携及び協働に努めること。
 マル3 自らが設置し、又は管理する施設について、禁煙又は受動喫煙防止の措置が遵守されるよう適切な措置を講じること。
(2) 県民の責務
 マル1 受動喫煙による迷惑と健康 影響 被害及び受動喫煙防止に関する知識について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙させることのないよう努めること。
マル2 県が実施する禁煙又は受動動喫煙防止の推進に関する施策に協力するよう努めること。
(略)
(4) 事業者の責務
 マル1 事業活動を行うに当たって、禁煙又は受動喫煙の防止に自ら努めること。
 マル2 県が実施する禁煙又は受動喫煙防止の推進に関する施策に協力するよう努めること。


5 規制対象
(略)
(4) 施設管理者専用 区域 空間については、規制の対象外とするが、公共的空間にたばこの煙が流れ出ないようにしなければならない。


6 規制の内容
(1) 喫煙の禁止
 何人も、公共的施設の非喫煙 区域 空間においては喫煙してはならない。
(追加) 喫煙する者の義務
 マル1 何人も、不特定多数の者が出入りすることができる屋外の施設においては喫煙しないよう努めなければならない。
 マル2 何人も、いかなる場所においても他人から喫煙が迷惑である旨指摘された場合は喫煙を中止しなければならない。

(2) 施設管理者の義務
 施設管理者に、次のことを義務付ける。
 (略)
 マル3 喫煙所、喫煙 区域 空間及び施設管理者専用 区域 空間から非喫煙 区域 空間に、たばこの煙が流れ出ないような別に定める基準を満たす措置をとること。
 マル4 喫煙所及び喫煙 区域 空間には、未成年者を立ち入らせないこと。
 マル5 喫煙所及び喫煙 区域 空間については、その旨を表示するとともに、未成年者の立入りができない旨を、当該 区域 空間の入口に表示すること。
 マル6 当該施設内の非喫煙 区域 空間(屋外を含む。)から吸い殻入れや灰皿等の設備備品類を撤去すること。
 マル7 当該施設内の非喫煙 区域 空間(屋外を含む。)で喫煙をしている者を見つけた場合、喫煙をやめるよう注意すること。
(3) 保護者の義務
 保護者は、その監督保護に係る未成年者を、喫煙所、喫煙 区域 空間に立ち入らせてはならない。
(略)


別表
(略)
 ただし、次の施設については、6(2)に規定する施設管理者の義務について、本条例の施行の日から3年間は適用しない。
(以下削除。)


7 実効性を確保するための措置
(1) 上記6(1)の義務( 非喫煙 区域 空間における喫煙)に反した者には、過料を科す。
(2) 施設管理者としての義務に反した者については、次の措置を講じる。
 マル1 立入調査
 ・知事は、施設管理者の義務の履行を確保するため、必要な限度において、施設における 喫煙の禁止 禁煙の遵守状況について立入調査し、関係者に質問することができる。
 (略)
 マル2 指導・勧告
  知事は、施設管理者が6(2) マル1〜マル6 の義務に反した場合、必要な措置をとるべきことを施設管理者に対して指導し、又は勧告する。
 (略)
 マル4 罰則
  次の場合には過料を科す。
 (略)
 ・施設管理者が6(2) マル1〜マル6 の義務違反を理由とした命令に従わない場合


(略)


9 必要な施策
受動喫煙防止の取組みを促進するため、必要な施策を行う。
(1) 県民 及び事業者 に対する受動喫煙による迷惑と健康 影響 被害及び受動喫煙防止に関する知識についての普及啓発
(略)


10 条例の施行
(略)
(3) 猶予期間
・第2種施設のうち、一部の施設については、施設管理者に係る義務を施行の日から3年間は適用しないこととする。


11 条例の進行管理及び見直し
 禁煙又は受動喫煙防止策を推進するため次の措置を行う。
(1) この条例の適正な執行 に努めるとともに、条例制定にかかる影響を把握し、条例の見直しを行う ため、必要な調査を実施し、県民や有識者等からなる検討組織を設置する。
(2) 受動喫煙防止対策を推進するため、規制対象、規制内容等については、受動喫煙防止 策の進捗状況等を踏まえ、条例施行の日から5年以内に必要な見直しを行う。


以上