枕から演目へ

地元の公民館に歌丸と楽太郎が来るって。あゆこさんが教えてくれた。
じゃ2人でみにいこう。切符タノムネ。
あゆこさんからの手配報告メール件名は「歌麿」…*1


二人会というだけで演目はわからず、たぶん古典をじっくり見れるだろうなという期待とともに当日を迎える。
いつもバレエの発表会などでなじみの会場がほぼ満席である。


前座は桂花丸という若手。師匠歌丸の生家が中華街の近くという話題からラーメン、蕎麦と転じて「時蕎麦」へ。
啜るしぐさは手馴れているものの、登場4人の演じ分けが今ひとつの感。竹輪麩の出てこないのも残念だった。


次いで楽太郎登場。第一声から貫禄が感じられる。嗄れ声は風邪気味のようにもきこえるけど。
楽太郎の噺を初めてきいたのは思えばNHK第一放送、当時は日曜22時台の「真打競演」にて。「ロス五輪までは瀬古の真似で行く」とか言ってた。
三方一両損」で気風のいい江戸っ子職人の啖呵がみごとだった。今は老大家の風格さえ感じられる。


おきまりの歌丸の悪口から始まる。浮いた噂もなかったし酒もやらない、何を楽しみに生きてんだ?というところから飲む打つ買うの話題。
そして源兵衛・太助の登場で「明烏」の世界へ。
文楽よりも、きれのよさは志ん朝を思わせる。さすがにあの色気には及ばないものの。


歌丸は楽太郎を軽く混ぜ返したあと、昔の苦労話を少々。噺家は古着屋をよく使ったものだ、道具屋というものもあって、おかみさんがしっかり者で…
「火焔太鼓」に突入。志ん生の奔放さに比し実に端正で安心感がある。


枕からの流れで演目は何かな?とわくわくするのは初めての経験だった。楽太郎の廓噺歌丸与太郎噺も意表を突かれた。
とりわけ現役の噺家をよく知るわけではないけど、この2人は古典を古典的手法でしっかりやれる存在だと予て思っていた。その認識を新たにした。


現役でもう1人、圓窓の高座にもいずれ接してみたい。