自転車の不在再び

「まちづくり学校」というもの。
受講申込先が区地域振興課だったので区主催と勘違いしてた。まちづくり学校運営委員会が実施主体で、区協働推進事業なのであった。
予て市の都市計画マスタープランに関し区民提案などを行ってきた団体が母体のようである。
かかる団体や活動の存在そのものを知らなかった。


本日の第1回講義は市まちづくり局計画部交通計画課による説明が時間の大半を占めた。
政策において交通手段として自転車を活用しようとする発想の不在を改めて実感した、というのがごく大雑把な印象である。4日の「環境ミーティング」同様。


市まちづくり局による64頁に及ぶ資料において、自転車は次のような扱いである。
・自転車・原付・自動二輪を合わせて「二輪車」という範疇を構成。
  (2頁「交通手段の適用範囲について」)
  (41頁「第4回東京都市圏パーソントリップ調査の結果について 主要な鉄道駅までの利用交通手段」〜43頁) 
・徒歩・二輪車を合わせてひとつの範疇を構成。
  (38頁「第4回東京都市圏パーソントリップ調査の結果について 発生・集中交通量の交通手段別構成比」)
・自転車ということばが出てくるのは2か所のみ。
  (28頁「区内の放置自転車禁止区域」・29頁「各駅の自転車等駐車場収容台数」)
ことほどさように、為政者にとって自転車は交通手段というより邪魔者としての関心が高いのか。


もとより、市まちづくり局計画部交通計画課の所管として口頭で説明されたのは次のようなことだった。
 1)鉄道輸送力向上 2)駅舎改良 3)交通バリアフリー化推進
 4)コミュニティバス支援 5)都市交通に関する調査 6)駐車場整備
日本の行政の通弊においては当然の如く、交通政策全般を網羅しているわけではない。


主催者側からは、'04年の区民提案について、大部の資料から要点となる頁について説明があった。
公共交通機関の利用促進、円滑な交通のための交通規制という論点については行政よりも多少踏み込んでいるようではある。


とはいえ、行政側・主催者側ともに、自動車の、とりわけ自家用車の円滑な交通を如何に実現するかという論点が問題の所在の大宗をなしているようにみえる。
質疑の時間が十分にとれるようだったので、次のような趣旨の発言をしてみた。

「まちづくりと交通ネットワーク」について如何にあるべきかを考えるとき、自家用車の交通量が減少すれば、多くの問題が解決されると思う。
自家用車の交通需要は自然現象でも与件でもない。これを抑制することについてどう考えるか。


使わずにすむ人が自家用車を使うために渋滞が起こる。そのためにたとえばバスの定時性・高速性が失われ、バス利用の動機を減退させる。所謂交通弱者の利便を損ねることにもなる。
自家用車から如何に公共交通機関や自転車や徒歩に交通手段を移行させるかを大きな課題とすべきではないか。


当地は坂が多いので自転車利用促進には制約があるとはいえ、昨今、電動補助自転車の高性能化・低価格化も進んでいる。
道交法18年改正を契機として自転車走行のルールも見直されており、自転車利用を推進するための町づくりや交通行政を考える機運も熟しているのではないか。


人は意識づけだけでは動かない。人の行動をとりわけ利便性の面から誘導する町づくりを考える必要があると考える。


散会後、交通計画課長氏との立ち話。
課長「自転車道の整備は難しい。」
こぐ「自転車隔離は得策ではない。自転車を交通手段として活用するには、車道を自動車と共有するのがよい。徒歩の代替では限界がある。」