くそぶな

いつもどおり携帯電話のニュース番組で5時半に目覚める。
起き出して階下のテレビをつけると、いきなり小泉先生*1の大写しである。くそぶなとは云々なんて話しておられる。
くそぶな?糞鮒?
はて、よもや言うに事欠いて、かぐわしい鮒鮨 *2のことではあるまい?


話題はどうやら万葉の歌であるらしい。

香塗れる塔にな寄りそ川隈の屎鮒食めるいたき女奴

香とか塔とか屎とか鮒とか奴とかをお題として与えられ詠まれたという。


番組ホームページ「NHKオンライン 日めくり万葉集」をみると「長意吉麻呂(巻16・3828)」とある。口語訳下掲。

これこれ 香を塗りこめた高貴なその塔に近寄ってはならん
汚物の溜まる川の曲がり角のくそ鮒を食うておる汚らわしい女奴(めやつこ)め

試みに辞書にあたってみると。

くそぶな【糞鮒】の意味 - 国語辞書 - goo辞書
鮒(ふな)を卑しめていう語。一説に、小鮒のこと。また、タナゴのこととも。
「川隈(かわくま)の―食(は)めるいたき女奴(めやつこ)/万葉 3828」

うーむ。鮒、川、厠、糞、といった連想の背景には上代発祥と伝えられる鮒鮨の香りが存在するのであろうか。


翌々日付「六題噺競作」につづく。

*1:1/12付註記に拙稿リンク集。

*2:'07/10/20付「川魚の真髄」ほか多数。