仄かな人間味

kogkog2004-08-26



日曜夕6時からのNHK総合1時間枠、サンダーバードの本邦初放送。
自宅のテレビがこわれてた間は隣家に行って見せてもらってました。


2号の模型が発売されたときは、保育園中が話題騒然としたものです。
しばらくして、父が買ってきて組み立ててくれました。
遊びに来た叔父が 後退 前進 翼をみていうには、こりゃ向きを間違えて作ったんだな!

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千駄ヶ谷に引っ越して最初の夏休み、母と妹と3人で、封切映画を見に行きました。
新登場の火星探査機ゼロエックス号。この年のクリスマスの贈り物には、同機の特大模型1200円也を買ってもらったのでした。


懐旧はつきません。長じて、テレビと映画作品のすべてをLDで再体験できたのは僥倖でした。
今般、実写の映画が制作されるときき興味津津。何年かぶりに映画館に行ってみようかなあ、という気にもなろうというものです。


そこでmorio0101さんの評に接しました。
措定された悪と戦い勝利する活劇。聖林映画の常套手法がオリジナルの最大の魅力を消し去ったとの趣旨と拝読。
オリジナルの魅力とは。科学技術暴走への警鐘。人命と救助の尊さ。なるほど。


10年ほど前、サンダーバード全作と並行して、「キャプテンスカーレット」全作LDで見たときに考えたことがあります。
キャプテンスカーレットは、サンダーバードの人形劇特撮技術を継承・発展させて制作されたもので、本邦では'68年ころ、たしか火曜夜7時からの30分枠で放送されました。
軍組織スペクトラム対火星人ミステロンの戦い。ミステロンは幽霊のように姿形がなく、毎回冒頭で地球人を1人事故死させ、その人を生きているかのように操ったりして破壊活動などをもくろむのです。ミステロンはなぜかテロを事前に予告するので、それをスペクトラムがいかに防ぐか、被害を局限するかが物語の中心となり、戦闘場面はそれほど多くなかったように思います。


繰り返し再放送されたサンダーバードと異なり、ほぼ四半期ぶりに見るキャプテンスカーレットは懐かしさも一入でした。
しかし、懐古趣味を除いて残るものは何か考えてみると、サンダーバードには遠く及ばないような気がしたのです。
サンダーバードにあってキャプテンスカーレットにないものはなんだろう。救助隊と軍組織という違い以上の違いは何か。


じつはサンダーバードは、無類の人間ドラマのようなものだったのではないか。
科学技術や災害や人命救助などの主題とともに、登場人物の個性や人間関係、人情の機微などをあますところなく描きだしていたのではないか。しかも安手の英雄譚や特殊日本的メロドラマにありがちな演出によることなく。
何度見てもおもしろい、あるいは家族でたのしめる要素は、そういうところにもあったのではないか、という気がしていました。


人形劇のもっていた仄かな人間味は、今般の実写版映画には望めないのかもしれません。