常識と法令と罰則

法令の定めにつき補足、所感を付す。以下本文/


法令を理解し遵守することはだいじと思います。
法令以前の常識といった領域もあります。法令違反でないからこれはゆるされる、ということばかりではないですね。
罰せられなければいいというものでもありません。法令違反によって負うもの失うものは多様のはず。私は罰則規定に興味がありません。


さて、"Column@nak"6/9付「危ないだけじゃなくて違反な自転車ルール」記載の「禁止事項」について。
補足を要すると思われるものがいくつかあります。その1。

禁止事項 / 罰則
手放し運転。傘ざし運転、携帯電話を掛けながらの運転含 /  3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

まず、「あぶないからやめろ」の範疇に属することとは思います。とはいえ、法令ではどうなっているか。


これらの「禁止事項」を明定した条項は道路交通法本則にはありません。東京都を例にとると、東京都道路交通規則にもありません。
念のため警視庁交通総務課法令指導係に電話して確認しました。他の道府県については未確認です。


となると、適用の可能性があるのは、道交法第70条のみと思います。この条項の適用については論点が多々あるようです。
以下、引用法令はいずれも道路交通法。太字引用者。

第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。


第119条第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
 同項第9号 第70条(安全運転の義務)の規定に違反した者


同条第2項 過失により前項(略)第9号(略)の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。


最高裁第一小法廷昭和48年4月19日判決文より。

同法70条後段の安全運転義務違反の罪が成立するためには、具体的な道路、交通および当該車両等の状況において、他人に危害を及ぼす客観的な危険のある速度または方法で運転することを要するのである。


以上から、youさんの日記6/7付の問い、

・・・・・・・ん、自転車って携帯で通話しながらの運行は禁止されてないのか?

への答えとしては、
自転車運転中の電話使用は、法令は直接禁止していない。ただし状況などによっては、車両等の安全運転義務違反に該当することがありうる。
という感じではと思います。