所謂プラス思考

えー、人間というものは、どういうもンですか、この…大なり小なり自惚(うぬぼれ)というものがあります。
自分は、なんでも悪くないという考えがあるから…つまりは、自惚なんですな(*a)

あいつは自分と同じくらいだと思ったときは、たぶん、自分のほうが劣っている。自分のほうが上手にみえたら同等くらい。
という趣旨を語ったのは志ん生だったか圓生(*b)だったか。

あるべき姿、めざすべきもの、いわば理想は何か。
翻って、それに照らして、自らの直面する現実の何が問題なのか。(*c)

主体がどう認識するのか。現実を、あるべき姿を、そして問題を。
現実とあるべき姿が一致していると認識されれば、それが高次であれ低次であれ、その主体にとって問題は存在しない。


最悪の所在が実力を示す。
というのは私の信条のひとつです。所謂プラス思考と思ってます。なぜならば。
最悪の何たるかを認識するのはその主体たる自分である。最悪を実力と思ってれば、それより良い分はプラス。自分のものとしてイタダキ。


*a 古今亭志ん生志ん生人情ばなし―志ん生の噺〈3〉」 ちくま文庫版、 筑摩書房、2005年。ISBN:4480420630 志ん生人情ばなし―志ん生の噺〈3〉 (ちくま文庫)
  志ん生文庫版、立風書房、1977年。ISBN:4651300057
*b 三遊亭圓生圓生古典落語」全5巻、集英社文庫集英社、1979-80年。ほか拙稿'05/1/12付にて既出。
*c 拙稿'05/3/15付