自転車の車道通行禁止法定の噂と「提言」

昨年、自転車の車道通行を禁ずる内容の道路交通法改正が準備されている、との噂が流れました。
しかしその事実を私は確認することができませんでした。
国家公安委員会に文書で照会した後、警察庁にあて、情報公開法に基づく行政文書開示請求を2度にわたって行ったのですが*1


一昨日未明、自転車対策検討懇談会「自転車の安全利用の促進に関する提言」 *2が公開されました。
まっさきに浮かんだのは、これが昨年の法改正の噂を裏づけるものなのかとの懸念です。
自転車の車道通行禁止法定に向けて、その拠りどころを固めておく意図が警察庁にあるのか?


しかし「提言」を読んでみると、むしろ逆の印象です。自転車の車道通行の意義を補強する論旨ばかり目につくのです。
詳細は昨日付「『提言』の意義と限界」記載。2行にまとめると次のとおりです。


1 自転車を交通主体として位置づけ、その機能を生かすために、車道通行の原則を維持する方針を示したことに意義がある。
2 自転車が車道で自動車と共存するため、自動車のふるまいを如何にすべきかについて言及しえなかったことに限界がある。


自転車の歩道通行容認が「提言」の大きな問題であるようにもみえます。それは自動車放任の帰結であると思います。
「提言」に問題はあるとしても、こと自転車の車道通行禁止という点に限っては、どう扱われているでしょうか。


提言全体の趣旨をまとめた[概要]にも[要旨]にも、自転車の車道通行を制限するような記述は皆無です。
本文21頁に1行だけ、「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止するなどの措置を講ずること」とあるのみです。
これにさえいくつか留保条件のついていることは昨日付既述のとおり。


では、自転車の車道通行禁止法定の噂と「提言」の関係や如何に?
口当たりのいい論旨を「提言」で展開しておいて、じつは後になってみたら、それがすべて自転車の車道通行禁止を正当化するものとわかる?
「提言」を読むかぎり、とてもそのようには思えません。


逆に、法案の中に、自転車の車道通行を制限するような内容がもしあったら、「提言」を盾に反論することができそうです。
法にそのように定めることは「提言」の趣旨に照らして妥当ではない、というふうに。「提言」そのものはそういう内容のものと思います。