自転車隔離でよいのか

掲げられている具体例について検証。


1. 「車線が多い道路では、車線を削って車道左端に自転車レーンを設ける」


 1.1 「自転車レーン」が「工作物によつて区画」される場合
  「レーン」は道交法2条第1項第3号の3の所謂「自転車道」となり、自転車はそこを通行しなければならない。
  自転車は「自転車道」内で対面通行することになる。また、道路全体からみて「自転車道」が片側にしかない場合でも、普通自転車はそこを通行しなければならない。
  詳細2/4付「隔離政策としての自転車道」
  車道上の工作物は、自動車の交通の円滑にとっても少なからぬ障碍となろう。


 1.2 「自転車レーン」が「工作物によつて区画」されない場合
  まず、「レーン」が違法駐停車の温床と化すことが懸念される。
  あるいは、現行法では、たとえば自動車を追い越す場合など、自転車が車道左側端を通行しなくてもよい場合もあるのに、そのことが正しく理解される妨げとなることが懸念される。
  さらに、「工作物によつて区画」されない「自転車レーン」を「自転車道」に含める法改正が行われ、1.1の問題を生起させることが懸念される。


2 「幅員が広い歩道は、自転車通行ゾーンを工作物やカラー舗装で区分する」


 「歩道」上の「自転車通行ゾーン」を「自転車道」に含める法改正が行われ、1.1の問題を生起させることが懸念される。
 また、「歩道」上の「自転車通行ゾーン」が「工作物」で「区分」されなければ、歩行者の安全は確保されない。
 詳細3/3付「議連総会の警察庁資料への疑問」


つまりは。
かつて自転車を車道から歩道へ誘導しようとして、悪名高き道交法63条の4が制定された。
それから37年を経て、さすがに自転車の歩道通行に問題のあることがわかった。
といって、自転車を歩道から車道に戻すだけでは自動車の邪魔だ。自転車は隔離してしまえ。


かかる施策には、自動車に代替しうる交通手段として自転車を活用しようという思想が欠落しているというほかありません。 
あらゆる道路で、あらゆる当事者が、他者を疎ましく思う心を克服すれば、現行法令に遵うだけでも、問題の殆どは解決するはずなのに。