見覚えのある

過日、書店の平積みに見覚えのある表紙を発見。
[rakuten:book:12866343:image] 装幀 柳原良平
 1 宮脇俊三最長片道切符の旅」新潮社、1979年。


さすがロングセラーなんだね。と思ってよく見たらさに非ず。覆刻なのでした。


片道切符とは同じ駅を2度通らない経路の所謂一筆書き切符のことです。
当時、国鉄の鉄道と連絡船を使った最長経路は、北海道の広尾と鹿児島の枕崎の間、というのが定説でした。


この本を新刊で読んだとき、せっかくだけど、こういう旅のしかたは、ちょっとどうなのかな、という気がしたものです。
全行程を通して旅するのではなく、何度か中断して東京の自宅に戻ってはまた日を改めて中断地点まで出向き、そこからまた再開、というやり方だったからです。
著者は大手出版社を退職して優雅な日々だろうに、まとまった時間を作れないのかなあ、特急などけっこう使って贅沢だなあ、などと思いました。


最長経路計算に関しては、清水晶氏の文献が紹介されてました。
そもそもわたくしが時刻表の奥深い世界に足を踏み入れる契機となったのが氏の下掲書でした。しかしこれには未だ最長片道切符に関する記述はありませんでした。


 2 清水晶「たのしい時刻表」読売新書、読売新聞社、1972年。


最長片道切符というものの概念を知ったのはその翌年のこと。
学級文庫にあった新書版くらいの本ででした。残念なことに書名も著者名も記憶にないんです。
枕崎から広尾まで、乗車券の有効期間たしか65日間をいっぱいに使って旅する内容で、若者の貧乏旅行といった印象が強かったように思います。
苦心して最長経路を算出した後、只見線が全通開業したため、新たな解を求めて再計算するはめになったとの記述もありました。
いつの日かこのような旅をしたいと思いつつ、わたくしの鈍行の旅 *1もいっそう充実の度を増していったのでした。


ところで、上掲書1は拙稿4/30付で言及した「ゴイス日記」の5/13付でとりあげられています。さらには、見覚えのある下掲書も。


 3 石田・古倉・小林「自転車市民権宣言―『都市交通』の新たなステージへ」リサイクル文化社、2005年。ISBN:4434056077
 4 高山俊吉「道交法の謎―7500万ドライバーの心得帳」講談社プラスアルファ新書、講談社、2004年。ISBN:406272250X


それぞれ拙稿'05/2/86/9付既出。3はまさに我が意を得たり。4は何を以て謎とするのかよくわからぬという印象でした。

*1:'04/2/20付。