安全運転義務違反の罪

'05/6/14付からつづく。


「自転車ツーキニストのための掲示板」への投稿、#27961「道交法第70条(安全運転の義務)の適用」、2009/2/6(金) 02:30:04

みなさんこんにちは。こぐです。
標記について、次の判例に示される考え方が一般的であるようです。


昭和46年05月13日最高裁判所第二小法廷決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27191&hanreiKbn=01
判示事項 道路交通法70条違反の罪の規定と同法の他の各条に定められている運転者の義務違反の罪の規定との関係
裁判要旨 道路交通法70条以外の同法各条に定められている運転者の義務違反の罪が成立する場合には、その行為が同時に右70条違反の罪の構成要件に該当しても、同条違反の罪は成立しない。


これによれば、たとえば自転車での携帯電話使用により道交法第71条(運転者の遵守事項)第6号違反の罪が成立する場合には、その行為が安全運転義務違反に該当しても、第70条(安全運転の義務)違反の罪は成立しないことになります。


拙稿'05/6/14付でこの判例にふれたときは、自転車での携帯電話使用を禁ずる都道府県公安委員会規則が存在するかどうかは確認しませんでした。
http://d.hatena.ne.jp/kogkog/20050614#1118683625


下掲書には次のような言及もあります。

 昭35・3・20参議院地方行政委員会及び昭35・5・17衆議院地方行政委員会は、「拡大解釈をするおそれがあるので安全運転一般に関する基準の設定」を要望するという趣旨の付帯決議を行っている。

昭和43年6月3日いわき簡裁
 安全運転義務は具体的義務規定でまかないきれないところを補充するものであるが、その規定のしかたはきわめて抽象的で明確を欠き拡大して解釈されるおそれがあるので罪刑法定主義の趣旨に則り厳格に解釈すべきであり、拡大して解釈、適用することを厳に慎しまなければならない。

執務資料 道路交通法解説
道路交通執務研究会 編著、野下文生 原著 「執務資料 道路交通法解説東京法令出版、初版1976年、14-2訂版2008年。ISBN:4809011836


上掲付帯決議について警察庁に尋ねたところ、「安全運転一般に関する基準の設定」は行われなかったとのことです。