冥途の土産に

前項からつづく。たしか購読開始の翌月、表紙はこれだった。
デコイ Miles Davis "decoy" Columbia.
スイングジャーナル表紙が初出で、後にジャケットに採用されたと記憶する。違ったかな?
新発売のレコードのジャケットをそのまま表紙にしてたのは"FM fan"*1であったが。


その年8月号表紙にはHubbard登場。その直後発売の新作のジャケットに雑誌実物が点景のように用いられていた。
バラの刺青 Freddie Hubbard "the rose tattoo" BMG JAPAN.
Davisは復帰後の新たな方向性を模索していたような時期である。
当時のHubbardは大衆ふゅーじょん市場の需要に応える一方、一連のVSOP活動などを通じ懐古ストレートアヘッドの旗手的存在でもあった。とはいえ、いずれもオープンでばりばり吹きまくるというスタイルが定着していた。
それが全編ミュートでスタンダード曲集とは、本邦企画作品だけあって懐古需要をしっかり狙ったものともいえる。
Hubbardのミュートはビブラートの温かみがあって、卵の殻を歩くと称賛された'50年代Davisとは全く異質である。


幸いなことに、両人とも生前の生演奏に接することができた。冥途の土産に。