後世に遺す

就職した月から実家に家賃を納めることにした。4万円から始めたと思う。
手取り額の半分くらい入れてもだいじょぶだろと見込んだものの、当初はあまり余裕がなかった。
初年度冬の賞与でレコードプレイヤー*1を買った。レンタルに頼らずレコードを買える身分になったのも嬉しかった。
月刊専門誌の定期購読をその月20日発売の新年号から始めた。


誌面の多くは提燈行列と割り切るにしても、webなどない時代にずいぶん多くのことを教えられた気がする*2
数年たって新作評論記事の排列がCDが先・レコードが後になったのを機にCDプレイヤー購入を決意した。
表紙の誌名表記がカタカナから英字に変わったのはいつごろだったっけ。


購読開始から十数年を経て世帯をもち、家庭内空間を独占できなくなったため毎月購読をやめた。
別冊付録のつく新年号だけを毎年買うようにして今日に到り、一昨日の報道に接す。

休刊:ジャズ専門誌「スイングジャーナル」 部数低迷で - 毎日jp(毎日新聞)

最終号は入手せねばなるまい。けふ昼休み書店に走る。20日発売というのは昔のままである。
一番奥の1冊をとり出して勘定場へ。そして職場に戻ってぱらぱらとめくる。
はて。「名盤のウラに記された真実 ビル・エバンス 前編」とか「定期購読のご案内」とか、いっこうに休刊の気配を感じさせない誌面とはこれいかに。


ん?これが最終号ではないの?上掲記事つづき。

 60年以上の歴史を持つジャズの専門月刊誌「SwingJournal(スイングジャーナル)」が6月発売の7月号をもって休刊することになった。発行元のスイングジャーナル社は、20日発売の6月号で休刊を発表する。


 同誌は1947年6月に創刊。多くのジャズファンに愛されてきた。同社によると、70〜80年代には約30万部を発行していたが、最近は部数が低迷。CDの売り上げが激減した影響で、レコード会社からの広告出稿も減っていたという。姉妹誌の音楽雑誌「ADLIB(アドリブ)」も4月発売の5月号で休刊したばかりだった。


 スイングジャーナルの三森隆文編集長は「長い歴史を持つ雑誌だけに、今後も復刊の可能性を探っていきたい」と話している。


毎日新聞 2010年5月17日 19時13分(最終更新 5月17日 22時28分)

そうか、「20日発売の6月号」だけがしっかり記憶にとどめられていたというわけか。
まあいいや。休刊告知の6月号と最終7月号を後世のために遺しておくことにしよう。あるいは老後のたのしみに。


次項につづく。