3.私の解釈

以下、「」内は道路交通法の引用を示す。いずれも「車両通行帯の設けられた道路」における解釈。


3.0 交差点における軽車両除外 (第35条第1項)
 「車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているとき」の規定は
 「軽車両」など「を除く」。


3.1. 原則の定め (第20条第1項・同条第2項)
 3.1.1 「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。」
 3.1.2 「車両は、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、
      当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。」

                 
3.2. 例外の定め (同条第3項)
 3.2.1 「車両は、追越しをするとき」など「は、前二項の規定によらないことができる。」(同項前段)
 3.2.2 「この場合において、追越しをするときは、
      その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」(同項後段)

 
3.3. 例外の解釈 (同項)
 3.3.1 前段、「前二項の規定によらないことができる」とは、前二項の原則に従ってもよいし、従わなくてもよい、と解する。
 3.3.2 後段、「この場合において」とは、前段の「よらないことができる」という規定を適用した場合において、と解する。
  つまり、前ニ項の原則に従わない場合において、ということである。


3.4. 例外の趣旨 (同項)
 3.4.1 車両は、追越しをするときなどは、第20条第1項・同条第2項の原則に従ってもよいし、従わなくてもよい。
 3.4.2 車両は、追越しをするとき、原則に従わない場合には、ひとつ右寄りの車線を走らねばならない。


3.5. 結論
 3.5.1 上掲2.すなわち第20条第3項後段の制定趣旨は、次のように解すべきである。すなわち、
  原則に従わずに追越しをしてよいといっても、その際、ふたつ以上右寄りの車線まで行ってはならない、という制限を設けるものであると。
 3.5.2 これを、追越しをするときは必ずひとつ右寄りの車線を走らねばならない、と解釈するのは妥当ではない。


3.6 文献への言及
上掲1.4(2)、所謂「野下道交法」における第20条第3項解釈は妥当ではないといわざるをえない。太字引用者。

(2)「前二項の規定によらないことができる。」とは
 右にかかげる適用除外事由に該当する場合(引用者註・追越しをするときなど)は、第1項又は第2項で定める通行の区分どおり道路を通行することができないわけであるから、第1項の場合にあつては道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を、第2項の場合にあつては公安委員会が指定した車両通行帯をそれぞれ通行しなくてもよいという意味である。
(3)「・・・・・・その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」とは
 追越しをするときは、必ず現に通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならないという意味である。
 (略)。

この解釈は、同項(a)を(b)と解しているようにみえるかぎりで、妥当ではないといわざるをえない。
(a) 「車両は、追越しをするとき」など「は、前二項の規定に よらないことができる。この場合において、追越しをするときは、」
   「直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」
(b) 「車両は、追越しをするとき」など「は、前二項の規定に」よることができないわけであるから、必ず 「追越しをするときは、」
   「直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」