シンポジウム雑感

kogkog2007-01-20


今次道交法改正 *1に関するシンポジウム *2を傍聴してきました。以下、引用発言の文責kog。


印象
4人のパネリスト、主催者側発表で百名を超える聴衆。10分ほどの休憩をはさんで4時間に及ぶ。
すでに公開されている情報の紹介に多くの時間がさかれ、質疑の機会が局限されたのが残念。
質問・意見は書面で、前半が終わったところで提出することを求められ、最後の30分ほどで司会者の選択により回答などがなされたのみ。
後半で扱われた内容についての質問はできなかったし、挙手などによる発言も認められませんでした。
しかも、質問は多数あったようなのに、定刻で閉会。
主催者側の取捨選択した質問にしか答えない、ととられてもしかたがないのではありませんか?


吃驚
入場早々、配付された資料の冒頭をみて吃驚。太字原文。

 「提言」の骨子


 自転車が被害者となる交通事故とともに自転車が加害者となる交通事故が増加している。
 自転車事故を減らすためには、自転車道の整備が必要だが進んでいない。
 そこで、


 ① 幅が狭く現行法令上自転車通行を認めることができない歩道であっても、
  児童・幼児が運転する場合車道が危険な場合に歩道通行を認める。
 ② 車道の通行がとくに危険な場合自転車通行を禁止する。


 また、自転車のマナー違反が目立つから、


 ③ 交通教育の徹底を図る。
 ④ 交通放棄違反の摘発を強化する。

これが「提言」 *3の骨子ですか。
日本語の要約としては、よくいえば大胆、正直にいえば粗雑で乱暴にすぎませんか。書かれたかたには申訳ないけれど。
「提言」を誤読している、と敵につけいる隙を与えることになりませんか。敵がいればの話ですが。


収穫
パネリストの1人は今週月曜に警察庁から話をきいたそうです。警察庁曰く、
「歩道上を自転車が無秩序に走っている現状があるから、ルールを明確にして徹底する。
 場合によっては歩道から車道に移るよう指導する。そのとき、児童・幼児にまで車道走行を求めるわけにはいかない。」
なるほどと思いました。
我思うに、これは「試案」の本質を語る(に落ちる?)ものではないか。新発見です。


空想
何のための法改正か。
交通安全、自転車の交通手段としての活用、云々。
いやじつは、警察庁はそんなこと考えてるのではない、のかもしれない。空想するに。


所謂団塊世代の大量退職を控えて、彼らの雇傭創出をせねばならない。どこに使うか。
あ、そうだ、歩道が自転車で無秩序だ、そこで自転車を指導する仕事をさせよう。
警察出身者とはいえ、現職ではないから、職権は限られる。ルールを明確にしておかねばならない。
児童・幼児にまで車道を走れといえるか?さすがにそれはまずい。この点は法改正が必要だ。
じゃ、懇談会を作って提言を答申させて、法改正しちゃえ。
ってなわけで。「試案」 *4はそれ以上のものではない、のかもしれない。


なるほど、「試案」3(1)では、自転車に対し指示するのは、「警察官等」としています。
道交法における「警察官等」とは、「警察官又は第114条の4第1項に規定する交通巡視員」(第6条第1項)です。
また、「試案」3(3)では、「街頭活動の活性化」として、「地域交通安全活動推進委員」に活動させることを謳っています。
交通巡視員とか地域交通安全活動推進委員とかに警察出身者を充てていくとか?


警察を退職した方々がその経験を生かして世の中のために働いてくれるのは、いいことではないかという気がしています。
少なくとも、ヘンテコな団体や会社などに天下ってろくな仕事もせず高給食んだりしてるよりは。


驚愕
後半、パネリストの1人から、次の趣旨のご発言があって驚愕。
「幼児・児童が自転車で歩道を通行することを認める法改正は妥当。」
あれれ、このかたは、「試案」へのパブリックコメントで、3(1)「通行区分の明確化」の全面削除を主張されてたのではなかったか?
となると、「試案」の問題は何処にありや。


謝辞
緊急の課題に対応すべく、このような会合を設けられた主催者ほか関係各位に敬意を表します。


と書いたところで、本日配付された資料にクレジットの表記がないことに気づきました。
第二東京弁護士会公害対策・環境保全委員会主催ときいていたけれど、主催者名もシンポジウムの名もパネリストの名も、資料にはありません。


そういえば、開催告知はweb上でみつけることができませんでした。
となると、きょう傍聴された百余名は、メーリングリストやクチコミで開催を知った方々ばかりだったのかな。

*1:1/4付。

*2:1/16付。

*3:'06/12/2付。

*4:'06/12/28付。