過失相殺率の基準と修正要素

過失相殺率の基準と修正要素についての考え方は上掲判例タイムズ」に次のように示されています。

 過失相殺については、本書に過失相殺率の認定基準を示しているが、これは事故の態様、類型に応じた一応の目安を示しているものであって、事案の内容に応じて、適宜修正要素等も加味しながら、個別、具体的な妥当性を求めるべきものである。

修正要素の例として。

5 その他修正要素として用いられる用語 (3) 著しい過失
 事故態様ごとに通常想定されている程度を超えるような過失をいう。
 (略)
 ここで酒気帯び運転とは、酒気を帯びて車両を運転すること(法65条1項)であり、酒酔い運転を除く。罰則(法117条の4第2号*1 )の適用があるか否かを問わない。(略)(従前、身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあることとされていたが、昭和45年の法改正によって、酒気を帯びた場合のすべてが禁止された。)


具体的な事故態様における過失相殺率・修正要素はたとえば次のようです。


直進自転車と左折四輪車(数値は自転車の過失相殺率、「青本」-「赤本」-「判例タイムズ」の順。「青本」から引用。)
 四輪車が先行の場合
  四輪車が予め左側端に寄っていた場合  20-10-10
  四輪車が予め左側端に寄っていない場合 10-10-10
 四輪車が自転車を追越し左折する場合     0- 0- 0


修正要素
 「青本」(数値なし) 
  加算要素:自転車の高速度進入、自転車の著しい前方不注意
  減算要素:四輪車の合図遅れ・合図なし、四輪車の大回り左折・進入路鋭角
 「判例タイムズ
  自転車の著しい過失又は重過失 +5〜10
  自転車の自転車横断帯通行    -5
  (略)

*1:引用者註・現117条の2の2第1号。拙稿'05/6/10付