1.2 被害者供述調書記載例(抄)

取調べを受けるにあたり、予め調書に記載すべき内容を原稿にして持参すると、警察官の予断による調書作成を牽制するのに有効と思われます。

上記の者は本職に対し任意下記のとおり供述した。

1 私は○年○月○日○時○分ころ○○で交通事故にあいました。

2 この事故は私が 仕事からの帰り、自宅最寄りの停留所でバスを下車し、自宅に向かって、交通整理の行われていない横断歩道を歩行横断している時に発生し、被害を受けたものです。

3 相手方は 自動車で、運転者を含め○人の男性が乗車していたと、本人達から聞きました。

4 この事故の状況を説明いたしますと
 私が上記日時場所を○○方面から○○方面に向かって 交通整理の行われていない横断歩道上を歩行横断中、左から進行してきた加害車両にはねとばされたのです。
 実況見分に私は立ち会っておりません。実況見分調書の内容については、私の供述と矛盾はない旨、警察官から知らされているのみです。

5 事故のとき、加害車両を運転していたのは○○氏 で、同乗者は 男性○名でした。私はこのことを、事故後、本人たちの申し出によって知りました。

6 この事故の原因について思いあたる点は
第一に、歩行者のいる横断歩道で車両は一時停止しなければならないのにそれを怠ったことと思います。
第二に、運転者は運転前に飲酒したと言っていましたから、飲酒していなければ事故は起きなかったかもしれないと思います。
第三に、加害車輛が時速30キロメートルの指定速度を遵守していたか疑わしく思います。速度が低ければ事故は起きなかったか、起きても被害が小さかったもしれません。

7 私の落度は ありません。加害者もそう言っていました。

8 私のけがは 右側頭、右肩、右側胸、右大腿、両膝、左足首などの挫傷や打撲です。診察した医師によれば、4週間程度の通院加療を要するとのことです。肋骨と左膝靱帯には医療具を装用し、痛みは現在も続いています。また、頭蓋内出血の症状は3ヶ月ほどたってからあらわれることもあるとのことで、不安を抱えています。

9 私の車の損害は 歩行中だから該当ありません。

10 治療代の支払や示談の点は 私に過失がないという前提で加害者が費用を支払うと言っています。加害者が関係する保険会社とも接触を始めました。

11 相手に対する処罰は 起訴の上、司法に委ねるのが妥当と思うので、検察官による不起訴処分は望みません。

12 本件が万一不起訴処分となった場合、刑事訴訟法第261条にもとづいてその理由を知るため、同法第230条にもとづき、本日、○○警察署長に宛て告訴状を提出します。

13 事故の背景として、交通法令に関して、違反しても検挙されなければいい、との風潮が世間に蔓延していると思われます。交通法令に関する啓蒙、取締の徹底、刑罰や処分などの適切な運用を強く望みます。

供述人  印
以上のとおり録取して読み聞かせたところ誤りのないことを申し立て署名 印した。