鉄人対決

kogkog2009-06-09


食虫大学講座連載第5回、昨日付からつづく。


講座の掉尾は鉄人対決というものらしい。
20分の制限時間内でどういうものをつくるか。料理人2人が対決、審査員が勝負を決するという趣向らしい。テレビ番組は見たことがない。


1人前1匹宛の兜虫を主力素材としてどう生かすか。
当初計画では蝉の幼虫を用いる構想で、先生がた自費で沖縄に採集に行ったものの残念ながら獲れなかった、といった経緯が映像で流されていた。


わたくしの席のすぐ左に設けられた調理台にあらわるは我らがかえる食堂*1ご主人山野氏。
熱した鍋に生きた蟋蟀やミルワームなどを手際よく投入していく。
妙技を見つめていると、炒めたてのミルワーム1匹を箸でつまんで食べさせてくださった。


迎え撃つ和の鉄人、献立は掻揚に茶碗蒸という。というか文字通り茶碗虫であろう。
司会者によると、炭火による串焼を予定していたのに、地下室ゆえ瓦斯中毒をおそれて急遽揚げものに変更された由。
そういえば開場を待っていたとき、火のおこった炭火焜炉を搬出してたっけ。


かえる食堂氏が盛りつけを始める。長方形の皿の3か所にごはんを堤防のように盛り、3種のカレーを注ぎ分ける。
中央に兜虫を置いて完成。


壇上の審査員3名は野中先生、受講生から選ばれた女性、そして学長ファーブル佐々木氏。
「会場のみなさんも味見に来て下さい」との声に大勢が群がる。
釜むし*2で用いた茶碗としゃもじ持参、料理を目の前にどれにしようか一瞬迷った隙に、女性審査員が「あーんして」って匙を差し出してくれたので有難く口をあけて頂戴した。


かえる食堂得意のカレー3種もそれぞれ味わうことができた。虫々がごく自然にカレーに溶け合うように違和感がない。
兜虫はさながら上質の蝦のような味わいと食感であった。


そして審査結果は。
予想通り、かえる食堂に軍配が上がる。
野中先生の講評に曰く、カレーそのものの調味の妙に加え、兜虫をひと口ずつ3種のカレーにつけて味わえる趣向も加点材料だった、カレーの種類によって兜虫もその味わいをそれぞれ微妙に変えたと。
当日になって献立変更を余儀なくされた和の鉄人は不利だったかもしれない。「次回こそは」と意慾満々のごようす。


調理場を片づける山野氏に「2月の貸切晩餐*3でお世話になりました」とご挨拶したら「覚えてますよ、骨まで食べていただいて」。光栄です。


素材画像下掲。

*1:1日付

*2:5日付

*3:2/14訪問、2/15付掲載。