下山事件補遺

9/23付からつづく。
4新装版 日本の黒い霧 (上) (文春文庫) 5BILLY BAT(1) (モーニング KC)


4 松本清張「日本の黒い霧 上」文春文庫新装版、文藝春秋、2004年。ISBN: 9784167106973
 カバーデザイン・関口聖司
 (初版「日本の黒い霧」1960年、文藝春秋新社)


冒頭「下山国鉄総裁謀殺論」のみ読了。
主として公表された情報をもとに推理を組み立てたという印象が強い。独自の調査や取材などはなさそうである。
とはいえ、GHQ内外、米国体制側当事者の利害関係の記述が詳しい。刊行当時は斬新な内容だったかもしれない。
柴田哲孝は自著巻末に膨大な量の参考文献を掲げたうち、本書を含めた5冊を特に重要なものと位置づけている。


5 滝沢直樹 / ストーリー共同制作 長崎尚志BILLY BAT講談社、2009年。ISBN: 9784063728125
 タイトルロゴ&カバーデザイン 黒木香ベイブリッジ・スタジオ


漫画一般の評価基準のようなものはよくわからない。とりあえず絵は無難だし、構成や展開も斬新に感じられる。
巻頭の色刷部分を読んでいる限り、どこで下山事件につながるのか想像し難い。台詞にOSSという語が出てきて初めて時代が知れる。
第1巻の終わりで急にシュール味を帯びる。続巻でどうなるのか楽しみではある。


漫画に殆ど縁のないわたくしがこの作品の存在を知ったのは、常磐線電車の中吊広告を見てである。
まさに綾瀬の轢断現場を通過したあと。復刊なったばかりの矢田「謀殺 下山事件」を読み始めていた。
この日は松戸駅の人身事故で亡くなられたかたの葬儀に参列した。その帰りみちのことであった。合掌。